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MECT2019の公式メディア「月刊生産財マーケティング」「SEISANZAI Japan」「robot digest」のコラボ企画です。
月刊生産財マーケティングで毎月掲載する進捗状況や出展者情報、主催者企画の詳細などMECTの応援記事を転載します。
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今年最大級の工作機械見本市「メカトロテックジャパン(MECT)2019」の主催者企画「コンセプトゾーン」のテーマがロボットに決まった。会場では、人手不足の解消や生産性向上を実現する4つの提案が展示される。また交流センター3階で開くセミナーでも、自動車や航空機の他に、ロボットをテーマに講演する。
コンセプトゾーン(CZ)とは、注目される産業や加工技術にスポットをあて、会場で実演する主催者企画の展示だ。2015年展では「最新マグネシウム」、前回展では「宇宙」をテーマに加工や展示を会場で披露した。
今回展のテーマは「ロボット」。近年は、人手不足の解消や生産性の向上のため、大企業だけでなく中小企業でも産業用ロボットへの関心が高まる。
CZだけでなくセミナーでも「広がるロボットの可能性」をテーマに2つの講演を予定する。セミナーは他に自動車や航空機について大手メーカーや大学から登壇者を招く。セミナー聴講の申し込みは、公式ウェブサイトから登録できる。ただし、定員に達し次第受け付けは締め切られる。
今回展のCZでは、AからDの4つのゾーンに分けられる。
Aゾーンは「ロボット切削で広がる可能性」、Bゾーンは「軽くて小さいロボットはこう使う」、Cゾーンは「重筋作業を肩代わりする」、Dゾーンは「小型部品を一緒に器用に組み立てる」をテーマに用意する。
最近はロボット本体の性能だけでなく、ソフト面の進歩で使用の幅が広がりつつある。これまで産業用ロボットは、工作機械のそばでワークの脱着や搬送などに利用されてきたが、そのロボットが自ら工具を持ち、ワークを削る日がやってきた。それを見られるのが、トライエンジニアリング(名古屋市守山区、片山誠二社長)、イワタツール(名古屋市守山区、岩田昌尚社長)、安川電機が協力したコンセプトゾーンAだ。トライエンジでは展示に向け、切削加工システムのさらなる改良が進められており、ここではもう少しロボット切削について深掘りする。
ロボットシステムの構築を手掛けるシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)のトライエンジニアリングの工場では、産業用ロボットが並び、さまざまな業種のシステムが組まれている。その一角で、MECTで披露する切削加工システムのテストが進められる。
ロボットに加工させるメリットは、工作機械よりもワークサイズの制限を受けないことだ。ロボットは、カバーで覆われていないため工作機械のように機内へワークを移動させる必要がない。
そのためロボット加工は、大物や長物、規格外のワーク向けで力を発揮する。
さらにロボットの周囲が加工領域となるため、パレットチェンジャーなどでテーブルを動かす必要もない。ロボットがテーブル側に振り向けば、そのまま加工できる。また、走行軸を取り付ければ、長物加工にも対応する。
5軸加工もでき「大型の加工機や専用機の購入に比べて、3分の1から4分の1ほどコストを抑えられる」とトライエンジの岡丈晴営業兼開発部長は話す。
MECT会場では、アルミニウムと炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、焼き入れ鋼(HRC60)の3種類の材料を用意し、ロボットはスピンドルを自動で交換しながら、面取りや穴開け、タップ加工などを披露する。
焼き入れ鋼の穴開けは、テスト段階だが、直径3mmのドリルで9~10mmの穴開けに成功。さらなる深穴にも挑戦しており、会期当日までにどれほどの深さまで穴開けできるかは、会場でのお楽しみだ。
主軸の自由度を見せるため、コの字のテーブルを用意し、3種類のワークを上下と横の3つの辺に設置する。さまざまな体勢でロボットが加工する。またテーブルは2カ所に置かれ、スペースの中心にあるロボットが位置を変えて加工する様子も見られる。
切削加工システムには3つの世界初披露がある。
一つ目は、トライエンジの要望に応え、安川電機が開発した高剛性ロボット「MOTOMAN - GG250」だ。外力に強い構造で、これまでロボットの弱点だったたわみ剛性が低いことによる加工精度の低下を解消する。
二つ目は工具。ロボットによる加工は、工作機械に比べて遅いが、切削条件を整えることで速くできる。そしてさらに加工速度を上げるのに重要なのが工具だ。会場ではイワタツールがロボット用に開発した工具を初披露する。粗加工から仕上げ、面取り加工を一本でできるエンドミルで、汎用の工具を使用した時に比べて2倍の速度で加工できたという。「まだ工具にも改善の余地はある。さらに突き詰め、MECTではさらに倍の速度を実現したい」と岩田社長は意欲を見せる。
最後はロボットの先端に小型のロボットを取り付けた「ロボットオンロボット」だ。先端の小型ロボットにノズルを持たせ、クーラント液などをかける。加工の向きに合わせ、最適な位置にノズルが移動する。会場ではCFRPを削るため、バキュームを取り付けて粉じんを吸引する。全貌は会場で明かされる。
トライエンジがロボットでの切削加工に取り組み始めたのは2015年のこと。顧客からの要望や、ロボットの使用用途が広がることを考えてスタートしたという。
「ロボットに切削なんてできない」
当時は周囲からそう言われた。工作機械に比べて剛性面で劣るロボットは、加工時の振動やたわみが発生しやすい。そのため、工具の刃が欠けてしまうこともあった。「取り組み始めた時には、激しく振動して慌てた」と岡部長は振り返る。
加工条件やシステムの見直し、剛性の高いロボットを選択するなど、実用段階になったのが2年後の17年のことだった。
導入実績もある。自動車部品メーカーの米国工場では、フロントバンパー内部の部品のバンパーレインフォースを加工する時に使われる。ワークは1400~1600mmの幅があり、両端が折れ曲がった形状のため、5軸加工機で加工する必要があった。これまでは全車種用に専用機を購入したが、ロボットならいろんな車種の加工に対応できると導入されたという。
「まだ十分に認知されていない。広がりはこれから」と岡部長は予想する。
CZにはロボット切削の他にも、加工現場のヒントになる提案や実演を用意。従来の産業用ロボットのイメージがガラリと変わる空間になるだろう。
ニュースダイジェスト社が発行する設備財関連の専門誌。2014年で創刊50年の節目を迎えた。世界の業界情報。国内外の工作機械展レポート、最新の工業統計など資料価値も高く、業界から高い評価を得ている。
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