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工作機械にIoTの流れ
大手だけでなく中小も

さまざまなものをインターネットにつなぐ「モノのインターネット(IoT)」を取り入れようとする動きが強まっている。IT企業と協業する工作機械メーカーや、アプリケーションなどの土台となるオープンプラットフォームを開発するNCメーカーが増え、大手企業だけでなく中小企業の導入も進む。メカトロテックジャパン(MECT)2017では、IoTの提案が目玉になりそうだ。

データ蓄積で作業改善

■中小企業のIoTなどのIT活用への関心度

中小企業のIoTなどの活用への関心度
※()内は社数
※金額は回答企業の資本金

出所:経済産業省「ものづくり白書」

IoTは、中小企業でも関心の高い分野だが、これまでは「どう使っていいのか分からない」などを理由に導入に消極的だった。しかし最近は、製造現場にIoTを導入し、利益体質を強化したり、生産性を向上する中小企業が増えた。そうした中小企業の導入事例を経済産業省や総務省が進める「ロボット革命イニシアティブ協議会(RRI)」が紹介している。

自動車部品を加工する企業では、機械にセンサーを取り付けることで、加工の現状把握が容易になった。改善案の検討、実施、効果確認までのスピードを向上させ、時間当たりの生産量が倍増する例が見られた。

また、金型メーカーでは、人工知能(AI)を搭載した探索システムを導入することで、半日かかった過去の製造情報の収集をわずか30分にまで短縮できるようになった。さらにこれまで暗黙知だった設計ノウハウを視覚化して、若手作業者への技能の継承を容易にするなどの事例が挙げられた。

自動化で多品種少量に対応

自動車生産の現在と将来 出所:Hewlett-Packard 2013

図 多品種少量生産に対応するスマート工場

「スマート工場」もIoTの活用例の1つだ。スマート工場とは、機器や設備をインターネットに接続し、機械同士、または機械と人が協調する自動化された工場のことだ。柔軟性のある生産が可能になり、小ロットの生産でも、大量生産と同等の効率とコストで生産することが期待される。

例えば、固定された製造ラインに流して自動車を作るこれまでの工場に対して、将来的には製造される自動車が必要な作業ステーションを渡り歩くようになる(図)。

同じ製品の製造に向く従来方法に比べ、製品に応じて作業手順を変更するため多品種少量生産が容易になる。そうしたスマート工場の実現には、複数の製品情報を処理し、作業手順や条件を決めるため、機械などのハードだけでなく、ソフトウエアとの連携が課題となる。

IT企業との協業で仕組み作り

工作機械などのハードとソフトウエアの連携が、IoTの導入には重要だ。

そのため、IT企業と協業することで、連携強化を図る工作機械メーカーが増えた。これまで不安視されたセキュリティー面も強化され、安全に機械の生産データを管理、運用できるよう仕組みを作る。そして、機械やロボットの生産データを集積して分析。故障の予防や故障時の普及までの時間を短縮するサービスを提供する。

また、NCメーカーでは、ネットワーク上でさまざまなアプリケーションやシステムを使用できる基本構造「オープンプラットフォーム」を開発し、発表。基盤を作ることで、業界全体でのソフト開発の促進を図る。

中小企業などへの導入の増加や工作機械メーカー、NCメーカーの取り組みからも、IoTへの期待度が分かる。MECT2017では、各社の機械や機器をつなぐ提案から、加工現場で抱える問題解決のヒントを見つけられそうだ。

(月刊生産財マーケティング編集部)

月刊 生産財マーケティング

ニュースダイジェスト社が発行する設備財関連の専門誌。2014年で創刊50年の節目を迎えた。世界の業界情報。国内外の工作機械展レポート、最新の工業統計など資料価値も高く、業界から高い評価を得ている。

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