キーワードからトレンドを知ろう

機械や周辺機器、加工提案などさまざまな分野から製造業のトレンドをピックアップしました。

AM

付加製造（アディティブ・マニュファクチャリング）の略で、削って形を造るのではなく、樹脂や金属粉末を積み上げ、固めて立体的な物を作る技術のことです。切削加工では作れない複雑な形状を造形することを得意とします。AM技術を利用した機械は、一般的に3Dプリンターと呼ばれます。多くの工作機械メーカーで、切削技術とAM技術を組み合わせた複合型の加工機が開発されています。

協働ロボット

作業者と一緒に働ける産業用ロボットを指します。一般的には、事故防止のために安全柵の設置が必要です。しかし協働ロボットは、センサーを取り付けることで、人が近づいたら動きがゆっくりになったり、ぶつかったら止まるなど、安全面に優れています。柵が要らないため、作業スペースを広く取ることができます。さらに、これまで人のみでやっていた作業をロボットが手助けすることで、生産性をより高めることもできます。

高圧クーラント

企業によって定義が異なりますが、一般的に７～30MPaの圧力でクーラント液を噴射することを指します。勢いよく工具や加工部分に当てることで、熱くならないようにします。さらに工具摩耗を抑え、寿命を延ばす効果もあります。また切りくずもクーラント液によって細かく分断されるため、切りくずが長くなりやすい旋削や穴開け加工で注目されています。

IoT生産システム

IoTとはモノのインターネットの略で、さまざまな物をインターネットに接続し、情報交換したり接続した物を制御する仕組みを指します。製造業では、機械やロボットにセンサーを取り付け、得られた情報を分析して稼働状況や生産情報の進捗などを一元管理する生産システムとして活用しています。素早く改善に取り組めるため、加工現場のさらなる効率化に役立てられます。近年は、大手の工作機械メーカーとIT企業が連携してシステムの構築を進めています。また、最新の機械だけでなく、NC装置のない機械にも対応する製品やシステムも登場し、中小企業への導入事例も増えています。

IoT生産システム

スカイビング

大工道具のかんなで薄く削るように、ワークを切削する加工法です。専用の工具とワークの両方を回転させ加工するため、動きや回転を制御することが非常に困難でした。しかし近年、機械の性能や制御技術、工具を作る技術が上がったことで可能になりました。歯車加工に応用した「ギアスカイビング加工」が有名です。

スカイビング

省エネ型工作機械

工具移動の無駄をなくす制御システムを導入したり、効率のいいクーラントポンプを取り付けるなどして、従来とアプローチを変えて、大幅に省エネを実現する機械の開発が進んでいます。例えば、周辺機械をこまめに停止するシステムを導入したことで、待機中の消費電力を約7割削減できる機械も登場しています。

ディープラーニング

人工知能（AI）の機能の一つで、深層学習とも言います。十分な情報があれば、人間の力を必要としなくても、機械が自動的に考えて、判断できるようになります。持っているデータが多ければ多いほど、機械が導く答えの精度は上がります。工作機械のCNC装置に搭載すれば、これまで熟練の作業者が判断するような機械診断を自動でできるようになったり、産業用ロボットと組み合わせることで人間では気付かないような動作を見つけて、従来以上に作業が最適化される可能性があります。

バレル工具

工具の側面に膨らみを持ち、たる（バレル）のような形をしていることから名前が付きました。工具の先端と側面で違う曲面の刃を持つので、細かい場所を削るなら先端、広い場所なら側面など、加工場所に応じて刃を使い分けることができます。

バレル工具

ファイバーレーザー・DDL

ファイバーレーザーは、光ファイバーを増幅媒体とする固体レーザーの一種です。炭酸ガス（CO₂）レーザーと比べて、エネルギーの変換効率は３倍のため、消費電力の削減に貢献します。ビーム品質の向上やさらなる消費電力の削減の研究が進められ、多くのレーザ加工機で活躍しています。また近年では、さらに波長が短く、反射率が低い「ダイレクト・ダイオード・レーザー（DDL）」も登場しました。こちらは半導体レーザーの一種で、高反射材の切断や薄板、中板の高速切断に力を発揮します。

ファイバーレーザー・DDL

トポロジー最適化

自動車や航空機産業など、さまざまな産業で部品の軽量化が求められていますが、削り過ぎると強度が下がってしまいます。トポロジー最適化は、強度と重量のバランスが最適な形状を自動で導き出すシミュレーション技術です。これまでは最適な設計をしても、その通りに加工できないこともありましたが、AMなどの加工技術の進歩で可能になり、注目されるようになりました。近年ではCAD／CAMの機能の1つとして登場しています。

ファインバブル

一般的に直径が100μm以下の細かい気泡を指します。さまざまな産業で応用されており、研究が進められる分野です。製造業では、研削加工をする時に、微細な気泡（ファインバブル）を発生させたクーラント液を使います。気泡の効果で砥石（といし）の目詰まりを防ぎ、さらに研削抵抗を下げるので、砥石へのダメージを少なくできます。そのため精度を落とすことなく、切り込み量を上げられます。

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