-見どころ紹介-

MECTのここが激アツ!!!!

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Vol.10

印象強いのは2023年展

MECTのヒストリーを発見!

寺町彰博会長のイメージ

1987年に初開催されたメカトロテックジャパン(MECT)は、今回展で20回目の節目を迎える。それを記念して、長年ファクトリーオートメーション(FA)業界に携わってきたTHKの寺町彰博会長に、MECTの印象や思い出について語ってもらった。寺町会長は「日本が世界に誇れる展示会の一つに進化してきた」と評価する。

――MECTの印象はいかがでしょうか。

2年に一度、製造業の集積地である中部地方の代表都市、名古屋市で開催される展示会として、国内でも有数の規模と認知度と認識しています。その上で、前回展で大きく印象が変わりました。

――どのように変わられましたか。

率直に言いますと、従来までは、あくまでも中部地方を代表する「ローカル展」のイメージでした。ところが、前回展からは一段進化されたと感じています。

――その要因は何でしょう。

ポートメッセなごやの第1展示館の建て替えです。従来はドーム型の展示館で築年数も相当な建屋でした。わが社もよく展示ブースを設けており、お世話になりました。しかし、前回展からはあおなみ線の金城ふ頭駅の近くに移転し、広大な展示空間を持つ建屋になりました。展示会全体の展示面積も増え、展示会自体のイメージも先進的なものに一新されたと感じています。

――なるほど。

国内では2年に一度、東京都で日本国際工作機械見本市(JIMTOF)が開かれます。こちらは工作機械の「世界四大ショー」の一つとされています。それと国内で対をなす展示会になったと感じています。世界有数の工作機械メーカーが多いドイツでは、ハノーバー市で開催される「欧州国際工作機械見本市(EMO)」と、自動車産業が盛んなシュツットガルト市で開かれる「AMB」が対となっています。その関係性に近づいたと感じています。

――評価をいただき、ありがとうございます。

だからこそ、個人的には海外メーカーの出展と海外来場者が、より増加しても良いと感じています。欧米メーカーに出展してもらえると、展示会全体で見た時の提案の幅が広がり、製造現場で働く多くの来場者のヒントやひらめきにつながる可能性が高まります。反対に、国内メーカーと海外の来場者、特に中国やグローバルサウス(インドや南米、インドネシアなどの東南アジア諸国、南アフリカなどのアフリカ諸国など)をつなげることで、日本の優れた工作機械やFA機器を世界に知ってもらう機会になると思います。

――それほどの期待を寄せてもらえる背景とは。

MECTの特徴に、出展者と来場者の距離の近さも挙げられると思います。作業着姿の来場者が出展者と加工技術の深いところまで話し合う姿を会場内のあちこちで見かけます。これはJIMTOFも含めて、他の展示会ではなかなかお目にかかれない光景です。

――なるほど。

そのような特徴を持つMECTだからこそ、今回展は特に工作機械の内需回復のきっかけとして、期待しています。今、日本の製造業への危機感があります。2023年度には国内企業の設備投資が100兆円を超えました。これはバブル期以来のようです。今も設備投資額が高水準です。しかし、「そのうち、国内で回っている金額はどのくらいだ」と疑問に思っています。

――と言うのは?

現在の設備投資の中心はIT関連の機器です。まだ、2000年代であれば、IT業界の国内メーカーに力があり、国内で調達と消費が回っていました。しかし、今では完成品のみならず、半導体関連や各種部品までもが海外製です。さらに、その機器上で稼働するソフトウエアに関しても、世界大手のデータプラットフォームで動いている状態です。この20年ほどで、工作機械もデジタル端末化が進みました。MECTでもデジタル技術の訴求が年々色濃くなっていると感じます。

――デジタル技術を使ったソリューション提案が増えています。

人件費が高騰する中で、ハードウエアへの投資の優先度は今後も下がる一方でしょう。事実、工作機械も設備更新が進まない「ビンテージ問題」が、日本工作機械工業会を中心に叫ばれています。設備が古いままでは、加工性能もデジタル技術も更新されていきません。ハードの投資意欲も高めていかないと、日本の製造業全体が、設備投資の意欲が高い国に追い越されかねないでしょう。

――ハードへの投資も大事です。

家電や半導体は、すでに国内での循環が弱まっています。対して、工作機械や工作機器、切削工具は国内だけでもまだまだ需給を完結できます。自動車産業もそうです。外国からの侵攻を受けてこなかった歴史を持つ安定した環境で、農耕民族として長年生活を営んできた日本人の気質や文化がバックボーンにあるからこそ、ものづくり大国になれたと考えています。その強みを絶やさず、伸ばしていくために国内での循環が重要です。工作機械業界は外需が7割を占める時代になりました。当然、外需も重要で冒頭では海外勢の話をしましたが、内需も大事にしていかなければなりません。

――最後に今回展のTHKの見どころは。

THKは、この数年で提案の幅が広がっています。そこで、直線運動案内「 LMガイド」やボールねじなどのLMシステム関連の製品群と、各種ロボットやデジタル技術を使ったFAソリューションの展示を明確に分けます。来場者が自分向けの技術がどこに展示されているかをより簡単に理解しやすくなるよう工夫する予定です。

寺町彰博

寺町彰博(てらまち・あきひろ)

1974年慶応義塾大学商学部卒、大隈鉄工所(現オークマ)入社。75年東邦精工(現THK)入社、82年取締役などを経て、97年社長、2024年会長最高経営責任者(CEO)。25年3月から現職。1951年東京都生まれの74歳。

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「MECTのここが激アツ!!!!」とは

本連載はMECT2025公式メディア「月刊生産財マーケティング」とのコラボ企画です。
MECT2025の出展者情報の他、恒例の主催者企画展示(コンセプトゾーン)や会期中に開催されるセミナーといった激アツな見どころをお届けします。また本連載は月刊生産財マーケティングにも掲載されます。

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