• 連載「見どころ紹介」

連載「見どころ紹介」

2023年8月1日

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第3展示館の一角に

魅力あふれる中小10社

中小企業支援ブースに出展する企業のブースが並ぶイメージ

今年最大級の工作機械見本市「メカトロテックジャパン(MECT)2023」では、第3展示館の西側に中小企業の出展を支援する「中小企業支援ブース」が用意される。今回展では工作機器や工具、溶接機器関連や、部品加工業など10社が参加する。各社の出展内容や意気込みを紹介する。

レーザーのカスタム専門

溶接痕がきれいな、フィジカルフォトンのサンプルワーク

溶接痕がきれいな、フィジカルフォトンのサンプルワーク

Physical Photon(フィジカルフォトン、千葉県松戸市、オン・ワヒン社長、3S01)は、レーザー発振器やそれを使った加工設備をカスタマイズ専門で手掛ける。

種類は、特殊なファイバーレーザーから二酸化炭素(CO₂)レーザー、半導体レーザーなどが中心。それらのハイブリッドなどの特殊な要望にも応じる。表面処理用から溶接機、切断加工機まで幅広く対応する。
 オン社長は「金属では微細精密加工から60mmの厚板まで。それ以外も半導体向け素材やガラスなどの硬ぜい材まで多くの実績がある」と胸を張る。

同社は、車載用のバッテリー向けに開発したレーザー溶接や溶断の技術を基に、2013年に設立した。溶接時に溶けた金属が周囲に飛散するスパッタの発生を防ぐ技術が肝だった。
最近では、バッテリーの電極用に使う薄膜の金属を、バリを出さずに切断する案件も手掛けた。

板金の大手から中小まで

手持ち式ファイバーレーザー溶接機

フィジカルフォトンは手持ち式のファイバーレーザー溶接機を出展(提供)

MECT2023には、手持ち式のファイバーレーザー溶接機を出展する。
 同機種のレーザー出力は、1000W、1500W、2000Wの3種類を用意する。手持ち式で最大出力が2000Wの物は、一般に多くはないという。
 そのレーザーヘッドを産業用ロボットに取り付けて、溶接工程を自動化する依頼も多いという。
 さらに産業用ロボットを使った搬送などの前工程や、画像処理ソフトウエアと人工知能(AI)を使った外観検査などの後工程のシステム構築もできる。

オン社長は「中部地方には、大手メーカーから中小企業まで幅広い規模感の板金加工業が多くいる。大手メーカーには高度な技術を使った研究開発に近い領域から、中小企業には簡単に作業の自動化をできる提案まで、会場で訴求したい」と意気込む。

直接つながる良い機会

山田製作所の山田英登社長

「製造業らしくないブースにしたい」と話す山田製作所の山田英登社長

山田製作所(愛知県あま市、山田英登社長、3S08)は円筒形状のワークの研削加工を得意とする。ミクロン単位の高い加工精度を追求しており、ロボットや農業機械、建設機械、二輪車など幅広い業種の企業と取引する。

同社が工作機械関連の展示会に初めて出展したのは、昨年の「第31回日本国際工作機械見本市(JIMTOF2022)」。中部部品加工協会の共同出展者としてブースを構え、複数の企業から引き合いを獲得したという。
 山田社長はJIMTOF2022での手応えを受け「MECTはJIMTOFに次ぐ規模で開催されるため、製造業関連の企業と直接つながる良い機会になる」と考え、MECT2023への出展に踏み切った。

「らしくない」ブースに

山田製作所の全従業員のうちの7割が女性

山田製作所の全従業員のうちの7割が女性で、彼女たちがミクロン単位の研削加工などを担う

「高精度な研削加工」と聞くと、熟練作業者が勘やコツを生かしながら黙々と機械と向き合う風景をイメージするかもしれない。
だが、同社の従業員のうち7割は女性で、未経験のスタッフでも即戦力としてミクロン単位の研削加工を担う。

その秘訣(ひけつ)は作業の標準化にあり、山田社長が主体となって10年以上前から技術やノウハウの標準化に取り組んだことで、誰でも同じ品質で加工できる体制が構築された。

 標準化の延長線上で自動化やデジタル化にも取り組んでおり、工場には4台のロボットシステムが稼働する。また、モノのインターネット(IoT)システムも導入し、設備の稼働状況の可視化に加え個別原価管理も実現した。

同社はただ単に技術を追求するだけではなく、最近は従業員が共鳴し合う組織の構築に努めたり、異業種の発想を積極的に取り入れたりと、「デザイン経営」にも力を注ぐ。
MECT2023でも、研削加工の技術とデザイン経営のエッセンスを掛け合わせた展示構成を視野に入れているという。「製造業らしくないブースにしたい」と山田社長は話す。

他の出展企業も魅力いっぱい

各社の出展内容やアピールポイント 3S02 アイユーキ技研 パーティングロック装置の困りごと解決 3S03 富永工作所 ステンレスに最適な卓上面取り機 3S07 新潟部品加工 ”らく~に”部品調達で生産性向上コスト削減 3S09 牧田技研 スピンドルのオーバーホール 3S10 大野精機 切削加工の「掘り出し工具」そろえてます

また、それ以外の出展者の出展テーマや出展内容を上記表にまとめた。表の他にも井上鉄工所(広島県福山市、井上亮社長、3S04)やGLOBE(グローブ、茨城県古河市、堀内健吾社長、3S05)、ハイタック(静岡県沼津市、稲田英教社長、3S06)が出展する。

連載「見どころ紹介」

MECT2023の公式メディア「月刊生産財マーケティング」「SEISANZAI Japan」「robot digest」のコラボ企画です。
月刊生産財マーケティングで毎月掲載する進捗状況や出展者情報、主催者企画の詳細などMECTの見どころを掲載した記事を転載します。

MECT2023の公式メディア

生産財マーケティングの本

ニュースダイジェスト社が発行する工作機械を中心にした設備財関連の専門誌。2023年で創刊報や国内外の工作機械展レポート、最新の工業統計などを掲載する。資料価値も高く、業界から高い評価を得ており、20年からは電子版の発刊も始めた。

「月刊生産財マーケティング」について、詳しくはこちらから
seisanzaiJapanのキャプチャ

2018年4月にオープンしたFA業界の最新ニュースを海外に向けて発信する英文サイトで、日本企業の新製品の情報やニュース、展示会リポートなどを紹介している。

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生産現場のロボット化と自動化を支援するウェブマガジン。産業用ロボットや自動化機器に特化した記事を掲載する。産業用ロボット関連の新製品や新サービス、導入事例、先進企業の取り組み、統計データ、助成制度など、あらゆる情報を発信する。

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