原点回帰の理由
例えば、直近6回のコンセプトゾーン(CZ)のテーマは、2011年「炭素繊維強化プラスチック(CFRP)」、13年「医療」、15年「マグネシウム合金」、17年「宇宙」、19年「ロボット」、21年「自動化」と、その時々の旬なテーマ設定だった。
今回のCZのテーマは「驚きのスゴ技」。製造業への有益な加工技術の情報発信に立ち返る「原点回帰」だ。
原点回帰には理由がある。
21世紀だけを見ても、08年のリーマンショック、そして20年からの新型コロナウイルス禍と、世界経済を揺るがす大きな出来事があった。
最近ではロシアによるウクライナ侵攻で世界の安定が揺らいでもいる。そして地球環境についての意識も、近年のSDGs(持続可能な開発目標)やカーボンニュートラル(炭素中立)をはじめ、従来とはレベルの違う段階になっている。
つまり、少し振り返るだけでも、社会環境の激変は明らかだ。
その影響もあり、製造業をはじめ産業全体のありようも変化している。
電気自動車(EV)の急伸に代表される自動車の電動化、需要が伸び続ける航空機などの輸送機器をはじめ、高度情報化に伴い隆盛を誇る半導体、高度化する各種デバイスを支える電気・精密機器など、あらゆる物は常に変化、高度化しており、その変化は当然、製造技術や加工技術にも変化を迫る。
この状況下で、自らの事業の方向性に思い悩む、特に中小規模の加工業者は多い。いかに自社の加工技術を高め、変化させるか――。
これは現代の加工業者の大いなる悩みであるはずだ。だからこそ今回のCZは原点回帰をした。
来場者に向けて、最先端加工の一端を加工実演と共に披露し、加工や技術開発のヒントを提示する。加工のヒントはここにあるのだ。