共同開発の小型MC披露、AIで熱変位補正/ベッコフオートメーション

小型MC「MM120」と共同開発に携わった岩間工業所、ベッコフオートメーション、connectome.designの関係者

ベッコフオートメーション(1A06)は、岩間工業所(1B44)やAIベンチャーの connectome.design (コネクトームデザイン)と共同開発した小型マシニングセンタ(MC)「MM120」を披露した。
 CNCには、ベッコフのリアルタイム制御ソフトウエア「TwinCAT(ツインキャット)3」を実装したパソコンベースのコントローラーを採用。オープンで拡張性が高いのが最大の特徴で、展示機のCNCには主軸に取り付けた8つの温度センサーを基に熱変位を補正する人工知能(AI)モジュールを実装した。AIのアルゴリズム(処理の手順や方法)はコネクトームデザインが開発した。
 ベッコフの高口順一ソリューション・アプリケーション・エンジニアは「岩間工業所の機械製造や加工の技術、ベッコフの制御技術、コネクトームデザインのAI技術を結集して開発した」と自信を見せる。

機内ロボで爪交換も自動化/中村留精密工業

新開発の機内ロボット「Flex Arm」を搭載した複合加工機「WY-150」

中村留精密工業(3B13)は3台の複合加工機を出展した。目玉は初披露の機内ロボット「Flex Arm(フレックスアーム)」で、2スピンドル2タレットの複合加工機「WY-150」に搭載して展示した。
 フレックスアームはワークの着脱やチャックの爪交換などが自動化できる機内ロボット。多品種少量のワークの自動化にも柔軟に対応できるのが特徴だ。「自動化ニーズは非常に高まっている。フレックスアームへの注目度は高く、『こんな製品があるのか』との声も聞かれた」と中村匠吾専務は話す。

工程を集約できる内面研削盤を初披露/西部電機

冷間鍛造金型向け内面研削盤「SFG-35P」

西部電機(3D04)は、冷間鍛造金型向けの内面研削盤「SFG-35P」を展示会初披露した。砥(と)石とインサートチップを組み合わせてセットできるハイブリッド加工を採用しており、ワークを削る量に合わせて使い分けができる。工作生産部製造課の福島敏夫さんは「測定機能も搭載しているので、測定、粗加工、仕上げ加工の3工程を1台に集約できる」と話す。

3本目の事業の柱に/トーヨーエイテック

工機商品企画・開発課の青木省二課長(中)、尾崎誠主幹(右)と野村亮太主幹

トーヨーエイテック(3C17)は、歯車研削盤「TGG-26-2W」を出品する。既存の内面研削盤とワイヤソーに次ぐ3本目の事業の柱として歯車研削盤の開発に力を入れ、製品として完成させた。

TGG-26-2Wの最大の特徴は、ワークを回転させる主軸が2本あり、一方のワークを加工中に次のワークの段取りができることだ。また、歯車の内面や端面を加工する内面研削盤とラインを構築することで、歯車の全ての面を加工できる。

開発を主導した商品企画・開発課の青木省二課長は「機械の剛性にこだわって開発した。基礎である剛性が高いことで、制御やソフトウエアがうまく機能する」と語る。

変種変量生産の需要増に応じる/FUJI

ガントリーロボット付きの複合加工機「 GYROFLEX T4000」

FUJI(3B12)は「変種変量生産と自動化」をテーマに、ワークを搬送するガントリーロボットを標準搭載した複合加工機「GYROFLEX(ジャイロフレックス)T4000」を披露した。今年4月発売したばかりで、展示会で披露するのは初めて。自動車業界の変種変量生産の需要増を受けて開発した。

最大回転速度が毎分4000回のワーク主軸を2つの加工室にそれぞれ搭載し、同時に加工できる。15本の工具が取り付けられるタレットも左右に配置した他、機械上部にも最大40本の工具を収納できる工具マガジンを搭載し、多様な加工を実現する。担当者は「変種変量生産に対応できる弊社初の複合加工機をアピールしたい」と話した。

卓上型!5軸加工機/NKワークス

サイコロ形状に加工する様子

多彩な海外製品を並べるNKワークス(3D03)は、家庭用の100V電源で簡単に稼働できる米国製の卓上型5軸加工機「POCKET(ポケット)NC」を目玉に据えた。

主軸がXとY軸方向に、テーブルがA、B、Z軸方向に動き、樹脂やアルミ、チタンなどの幅広いワークの加工ができる。メーカーのウェブサイト上で、Gコードやワークの情報を入力すれば、切削シミュレーションもできる本格的な5軸加工機だ。

「卓上の3軸加工機はこれまでにもあったが、これほど本格的な卓上5軸加工機は珍しい」と担当者は話す。教育機関や試作向けに販売実績がある。

会場では、ブルーワックスと呼ばれる樹脂素材のブロックやアルミをサイコロ形状に加工するデモを披露した。ポケットNCの周りには人だかりができ、驚きの声を上げていた。

自動爪交換システムを初披露/豊和工業

 豊和工業(3D17)はチャックの爪(ジョー)を自動交換する「オートマチック・ジョー・チェンジャー・システム(AJS)」を初披露した。チャックの爪を自動交換できるほか、交換後に振れ測定や、ワークの着脱もできる。
 ロボットがチャック上の爪を移動してロックを解除し、爪を外してストッカーに移動。別の爪をストッカーから取り出してチャックに装着する仕組み。ワークをつかむ把握力や精度の測定もできる。
 「自動車産業を中心に注目されている」(説明員)という。

自動化パッケージに人だかり/牧野フライス製作所

「DA300 自動化パッケージ」はデザインにも注目

牧野フライス製作所(3B02)が披露する「DA300 自動化パッケージ」が人気を集めている。5軸立形マシニングセンタ(MC)のDA300と40枚のワークストッカー、スケジュール管理ソフトウエア、工具交換装置をパッケージ化した。特に目を引くのはワークストッカーの外観デザイン。またブースのデザインも、人工芝を敷き詰めるなど環境配慮をイメージさせるものとなっており、来場者を楽しませている。

ベストセラー機の後継機を披露/OKK

OKK(3D10)は立形マシニングセンタの新製品「VM53RⅡ」を出品する。ベストセラーの「VMR」シリーズの後継機種「VMRⅡ」シリーズとして、会期前の10月12日に発表したばかりだ。コラムの鋳物の形状を見直して剛性がアップした他、主軸ヘッドの冷却性能も向上した。

会場では、来場者の希望に応じて随時、重切削の平削りと高送り加工を披露する。説明員の並河裕希さんは「わが社の基幹となる製品。実演を通じて、剛性の高さを実感してほしい」と語る。

CFRP用のレーザ加工機を開発/三菱電機

5軸のレーザーヘッドで曲面も自在に加工できる

三菱電機(3B01)は、10月18日に発売した炭素繊維強化プラスチック(CFRP)用レーザ加工機「CVシリーズ」を展示した。発振器と増幅器を同一にした炭酸ガスレーザーの発振器を開発。融解温度の異なる炭素繊維と樹脂に対応するため、波形の動きが激しいパルス波と高出力を両立した。切削加工やウォータージェット加工よりも約6倍の加工速度を誇る。また切れ味が鋭く、加工断面に炭素繊維の飛び出しもない。

清水則之執行役員は「自動車業界では二酸化炭素の排出量削減や電気自動車での採用を前提に、車体の軽量化を求められ、CFRPが注目を浴びる。 CFRP を熱間プレスで加工すると余分な取り代が出る。その2次加工に有効に使える」と胸を張る。