「サガネ係長…」を積極PR/日進製作所

ホーニング盤メーカーの日進製作所(3D16)はモノのインターネット(IoT)を導入したシステム「サガネ係長のIoT」のPRに躍起だ。
 「サガネ係長のIoT」は生産ラインの不稼働要因をリアルタイムで把握し、現場で取り組むカイゼン活動の質と量を高め、生産性を向上できる。現場を管理する係長目線で、業務効率や生産性の改善を支援するシステムだ。
 設備のメーカーや新旧を問わず、設備の様々なデータを集めて稼働状況を管理できるのが特徴。昨年の日本国際工作機械見本市(JIMTOFオンライン)で公開したが、今回のMECTでは、来場者に直にアピールした。
 担当する奥村大課長は「国内の設備投資需要が本格化する前に、知名度を高めたい」と意気込む。

変種変量生産の需要増に応じる/FUJI

ガントリーロボット付きの複合加工機「 GYROFLEX T4000」

FUJI(3B12)は「変種変量生産と自動化」をテーマに、ワークを搬送するガントリーロボットを標準搭載した複合加工機「GYROFLEX(ジャイロフレックス)T4000」を披露した。今年4月発売したばかりで、展示会で披露するのは初めて。自動車業界の変種変量生産の需要増を受けて開発した。

最大回転速度が毎分4000回のワーク主軸を2つの加工室にそれぞれ搭載し、同時に加工できる。15本の工具が取り付けられるタレットも左右に配置した他、機械上部にも最大40本の工具を収納できる工具マガジンを搭載し、多様な加工を実現する。担当者は「変種変量生産に対応できる弊社初の複合加工機をアピールしたい」と話した。

牧野フライス製作所と提携の「ヘールバイト」/OSG

 オーエスジー(OSG、2A24)は今回展で多くの新製品を初披露した。中でも珍しいのは、牧野フライス製作所との業務提携で生まれた「ヘールバイト」だ。OSG傘下の日新ダイヤモンドが製造する。
 ヘール加工とは真空チャンバーや真空バルブのシール面を加工するための加工で、面粗さ(Ra)0.4㎛を実現するために、これまではエンドミルで円弧状に切削した後に、ウレタン製のスポンジやスポンジ研磨材を使った手磨きが必要だった。
 牧野フライス製作所とOSGの提携で生まれた、対象マシニングセンタでのスーパーヘール加工制御とスーパーヘール用バイトの組み合わせで、送り速度が毎分6000mmの高速加工とRa0.4㎛の高い面粗度を同時に実現。これまでのヘール加工と比べ加工時間を80%削減できる。
 製造する日新ダイヤモンドは単結晶ダイヤモンド工具の製造に強みを持つ。神谷伸顕社長は「単結晶ダイヤモンドは高価との懸念を払しょくし、導入のハードルを下げたい。加工のトータルコストは下げられる」と意気込む。

EV部品向けにFSW提案/ヤマザキマザック

FSWで製作したモーターケース

「環境対応」「自動化」「デジタル製造」の3つのテーマを掲げ、ファイバーレーザ加工機の新製品「STX-2412」など6台の工作機械を出展したヤマザキマザック(3A02)。
 環境対応の分野では、脱炭素社会の進展と合わせて今後の需要拡大が見込まれる電気自動車(EV)の部品加工向けに、摩擦撹拌(かくはん)接合(FSW)技術を提案した。実機こそ展示しなかったものの、FSWと切削加工で製作したEV用モーターケースなどのサンプルワークを複数点披露した。「FSWと切削加工を融合したハイブリッド複合加工機を2014年に市場投入して以来、FSWの専用工具や機械制御、加工ノウハウを磨いてきた。最近はEV部品向けにも需要が増えている」と堀部和也上席執行役員は語る。

工程集約で「多品種」狙う/村田機械

6/8インチチャックの正面型2スピンドルターニングセンタでは初めてY軸機能を搭載

村田機械(3A06)は今年9月に発売した正面型2スピンドルターニングセンタ(TC)の新製品「MWR120」を披露した。同社によると、6/8インチサイズの正面型2スピンドルTCの中では初めてY軸機能を搭載したという。工程集約で段取り回数を削減し、多品種中量のワークを効率的に生産する。主なターゲットは一般産業機械の部品などだ。「従来は自動車部品の量産を得意としてきたが、今後は多品種中ロット生産の領域にも注力する。多品種のワークの加工では段取り替えが課題になるが、工程集約を通じて省段取りを実現したい」と担当者は語る。
 また、オートティーチング(教示)機能を搭載して再教示の作業を不要にした新型ガントリーローダー「FLEX EZ LOADER LOPROSS(フレックス・イージー・ローダー・ロプロス)」も参考出展した。

AGVでワーク回収し補正値送信も

奥の自動旋盤からワークを回収して左奥で自動計測

スター精密(3C15)の主力製品はスイス型CNC自動旋盤だが、影の目玉出展はこちら。
協働ロボットを無人搬送車(AGV)に搭載し、自動旋盤で加工したワークを回収するシステムを実演展示している。
洗浄後に乾燥させたワークを自動計測し、良品と不良品を仕分けるのはもちろん、良品から加工補正値を割り出し、補正値を自動旋盤に送信する仕組みだ。
「展示スペースの都合で1台での実演だが、1台のAGVに複数の自動旋盤を担当させれば、順次ワークを回収しながら、それぞれの加工機に補正値を送信し続けることで無人工場を実現できる」(説明員)という。

手軽に手動で機上計測

岡本工作機械製作所(3D14)は「研削と測定」をテーマに、新開発の機上計測システム「Quick Touch(クイックタッチ)」をアピールする。平面研削盤や成形研削盤をそのまま計測装置として使うもので、手動操作でタッチプローブをワークに振れさせ、ワークの厚みを計測する。ワークに触れた瞬間に力を逃がす独自制御により、プローブの破損を防ぐ。「加工後にワークを取り外すことなく計測できる。プログラムの作成も不要のため、現場で使いやすい」と西上和宏マーケティングチーム長は言う。