やっぱりリアル展はいい/牧野フライス精機清水大介社長

オンライン展と違い、来場者に実機を触ってもらいながらじっくりと説明し、機械の細部まで見てもらえる。来場者の反応がその場で分かり、出展機への理解も進むと思う。やっぱりリアル展はいいですね。

油圧レスで省エネ&省スペース/黒田精工

黒田精工(3A12)は成形平面研削盤「GS-30/45」シリーズを展示する。砥石(といし)の左右送りに従来は油圧を使っていたが、これを自社製ボールねじに置き換えた製品だ。「消費電力を60%削減でき、油圧タンクをなくすことで設置スペースも大幅に削減できる」と機工・計測システム事業部の舩木信裕営業部長は話す。

今年発売の新製品が続々と

アマダの 順送プレス加工自動化システム 「SDEW8010iⅢ + ALFAS-03ARZ」

アマダ(3D21)は、「次世代のものづくりにつなぐ最新ソリューション」をテーマに、今年発売したばかりの新製品を続々と披露した。プレスとレーザー、研削加工の分野で、5つの機械やシステムを展示した。

目玉の一つのファイバーレーザ加工機「BREVIS-1212AJ」は、薄板から厚板まで加工できるのが特徴で、最大ワークサイズは1270×1270mm。従来機よりも小型で、「スペースが限られる工場などに導入しやすい」(説明員)。

「SDEW8010iⅢ + ALFAS-03ARZ」は、サーボプレス加工機と高速なロールフィーダーを組み合わせた順送プレス加工自動化システムで、急速に進むEV化に向けて開発された。加工機とフィーダーの操作盤を1つにすることで、操作性を高めた。「自動車の集積地の中部地域で、EV対応の製品をアピールしたい」と説明員は意気込む。

中小も導入しやすい自動搬送付きMC

2機種目となる 機内自動搬送装置「E-Loader」 付きの立形MC

エンシュウ(3B04)は、主軸テーパー30番型の立形マシニングセンタ「GE30Ve」に、機内自動搬送装置「E-Loader(ローダー)」を取り付けた「GE30Ve+E-Loader」を初出展した。

E-Loader付きのMCとしては2機種目。従来機「WE30Ve+E-Loader」と比べ、軸の移動量をX軸600×Y軸800×Z軸400mmに増やし、ワークの可搬質量は片方のアームにつき5倍の50kgに高めることで、顧客の幅広い自動化ニーズに応えられる。

搬送ローダーの駆動源には、MCのX軸を利用する。「ロボットやガントリーローダーでの自動化よりも簡易的で、中小企業でも導入しやすい」と担当者は説明した。

EV部品向け2機種、「JTEKT」ロゴに/ジェイテクト

小型円筒研削盤「e300GPi-HYPER」

ジェイテクト(3C18)は小型円筒研削盤「e300GPi-HYPER(ハイパー)」と立形マシニングセンタ「FV7000Z」の2機種を披露した。両機とも電気自動車(EV)の部品加工向けで、 e300GPiはEV用モーターシャフトの研削加工に力を発揮する。「コンパクトな機械だが、砥石(といし)軸の出力を高めて生産性も向上させた」と工作機械・システム事業本部の井土雅裕執行副本部長は説明する。
 また、ロゴマークも従来の「TOYODA」から社名の「JTEKT」に変更した。

IoTの新機能を参考出品/トーヨーエイテック

トーヨーエイテック(3C17)は、自社製NC装置「TOYOMATC(トーヨーマチック)」の4つの新機能を参考出品した。CO2排出量を可視化する「CO2モニタ」や、データを共有してリモートでメンテナンスをするサービスにカメラ映像を追加する「カメラオプション」など、モノのインターネット(IoT)関連の機能も強化した。

工機開発設計部電気設計課の上杉燎平さんは「IoT技術は常に進歩している。新機能を見てもらいたい」と話す。

【新人記者の視点】ミニチュア模型に魅せられて

トーヨーエイテック 立形複合研削盤「TVG-40S」のミニチュア模型

今回のMECTでは映像を使って製品を紹介する企業が多い。特徴を分かりやすく伝えられるのが映像の利点だ。

その中で異彩を放つのがミニチュア模型だ。模型を見ただけでは機械がどのような性能か分からない。しかし、一目で機械全体の構成を見ることができるのは、ミニチュア模型ならではの魅力。

トーヨーエイテック(3C17)には、立形複合研削盤「TVG-40S」のミニチュア模型がある。スケールは驚異の10分の1。模型好きな私は精緻なパーツに思わず目を奪われる。「ミニチュアを作るのに軽自動車1台分の費用が掛かった」と藤井智俊シニアエキスパートは言う。その言葉も納得のクオリティーだった。

工程集約で「多品種」狙う/村田機械

6/8インチチャックの正面型2スピンドルターニングセンタでは初めてY軸機能を搭載

村田機械(3A06)は今年9月に発売した正面型2スピンドルターニングセンタ(TC)の新製品「MWR120」を披露した。同社によると、6/8インチサイズの正面型2スピンドルTCの中では初めてY軸機能を搭載したという。工程集約で段取り回数を削減し、多品種中量のワークを効率的に生産する。主なターゲットは一般産業機械の部品などだ。「従来は自動車部品の量産を得意としてきたが、今後は多品種中ロット生産の領域にも注力する。多品種のワークの加工では段取り替えが課題になるが、工程集約を通じて省段取りを実現したい」と担当者は語る。
 また、オートティーチング(教示)機能を搭載して再教示の作業を不要にした新型ガントリーローダー「FLEX EZ LOADER LOPROSS(フレックス・イージー・ローダー・ロプロス)」も参考出展した。

リアル展で本物の機械を見てほしい/オークマ家城淳社長

MECT2021の開会式で登壇した家城淳社長

オークマ(3D01)は、「自動化」と「脱炭素」をテーマに据え、3機種を展示した。

複合加工機内にロボットを搭載した自動化システム「MULTUS B250ⅡARMROID(アームロイド)」や、ワンチャックでミーリングと旋削、ギア加工が可能な5軸制御立形マシニングセンタ「MU-4000V-L」などを披露した。

また、工場内の脱炭素化に向けた同社の環境対応製品や取り組みを、①必要なエネルギーを減らす②不要な機器は止める③機械の動作時間を短縮する――の3つのポイントに分け、大きなパネルを展示し、「脱炭素」をアピールした。

同社の家城淳社長は、「久しぶりのリアル展で、本物の機械を来場者に見てもらいたい。市場の要求が高まっている脱炭素も今回展で注目してもらいたい」と話した。

AGVでワーク回収し補正値送信も

奥の自動旋盤からワークを回収して左奥で自動計測

スター精密(3C15)の主力製品はスイス型CNC自動旋盤だが、影の目玉出展はこちら。
協働ロボットを無人搬送車(AGV)に搭載し、自動旋盤で加工したワークを回収するシステムを実演展示している。
洗浄後に乾燥させたワークを自動計測し、良品と不良品を仕分けるのはもちろん、良品から加工補正値を割り出し、補正値を自動旋盤に送信する仕組みだ。
「展示スペースの都合で1台での実演だが、1台のAGVに複数の自動旋盤を担当させれば、順次ワークを回収しながら、それぞれの加工機に補正値を送信し続けることで無人工場を実現できる」(説明員)という。