工具メーカーは協働ロボットをこう使う/富士精工

ロボット先端の黒い部分が3Dプリンターで製作したツーリング

切削工具メーカーながら協働ロボットのバリ取りシステムを参考展示したのは富士精工(2A13)だ。デンマークのユニバーサルロボットの協働ロボットの先端に、3Dプリンターで製作した自社開発のツーリングとバリ取り工具を搭載する。ツーリングを交換すれば搬送などにも対応可能だ。

また、センサー内蔵ホルダーも参考展示。X、Y軸の振動と温度センサーを搭載し、刃具の異常を検知して予兆保全に役立てる。トヨタ営業課の高橋一郎課長は「『省人化への未来挑戦』とのテーマを見ていただきたい」と話す。

【会場でもらった!】エコバッグ/シチズンマシナリー

トートバッグを開いた状態(画像中央)と畳んだ状態(画像左下)

シチズンマシナリー(3D20)ではエコバッグを配布している。

シックで落ち着きのある色遣いは大人の上品さを演出する。また、畳むことでスマホ大のサイズになるため、持ち運びもしやすく使い勝手が良い。同社ブースではこのエコバッグに加えてクリアファイルと製品パンフレットを来場者に配布する。それらが入っている紙袋から漂う高級感にも注目だ。

ツール交換しながらロボットでバリ取り/日東工器

 日東工器(1C37)はブース内に3台のロボットを設置する。ファナック製ロボットを使ったシステムでは、ハンドチェンジャーでワークハンドリング用のハンドやロボット用ベルトサンダー「ベルトン」などを付け替えながら、バリ取りをイメージしたデモを披露した。「来場者からの反響は大きく、ロボットや自動化への関心は高い」と中日本支社の中川原清隆販売推進課長は言う。

※この記事の再編集版は公式メディア「robot digest(ロボットダイジェスト)」にも掲載予定

自動爪交換システムを初披露/豊和工業

 豊和工業(3D17)はチャックの爪(ジョー)を自動交換する「オートマチック・ジョー・チェンジャー・システム(AJS)」を初披露した。チャックの爪を自動交換できるほか、交換後に振れ測定や、ワークの着脱もできる。
 ロボットがチャック上の爪を移動してロックを解除し、爪を外してストッカーに移動。別の爪をストッカーから取り出してチャックに装着する仕組み。ワークをつかむ把握力や精度の測定もできる。
 「自動車産業を中心に注目されている」(説明員)という。

牧野フライス製作所と提携の「ヘールバイト」/OSG

 オーエスジー(OSG、2A24)は今回展で多くの新製品を初披露した。中でも珍しいのは、牧野フライス製作所との業務提携で生まれた「ヘールバイト」だ。OSG傘下の日新ダイヤモンドが製造する。
 ヘール加工とは真空チャンバーや真空バルブのシール面を加工するための加工で、面粗さ(Ra)0.4㎛を実現するために、これまではエンドミルで円弧状に切削した後に、ウレタン製のスポンジやスポンジ研磨材を使った手磨きが必要だった。
 牧野フライス製作所とOSGの提携で生まれた、対象マシニングセンタでのスーパーヘール加工制御とスーパーヘール用バイトの組み合わせで、送り速度が毎分6000mmの高速加工とRa0.4㎛の高い面粗度を同時に実現。これまでのヘール加工と比べ加工時間を80%削減できる。
 製造する日新ダイヤモンドは単結晶ダイヤモンド工具の製造に強みを持つ。神谷伸顕社長は「単結晶ダイヤモンドは高価との懸念を払しょくし、導入のハードルを下げたい。加工のトータルコストは下げられる」と意気込む。

【新人記者の視点】自動化を誤解していた

DMG森精機ブースの自動化についての説明

自動化とは、従来人がしていた作業を機械に置き換えるという意味だ。私はFA業界に入ってからこの言葉を知った。意味を知った時、このまま人の仕事が全て機械に取られるのではと思った。

今回のMECTでは自動化に焦点を当てた企業が多い。DMG森精機(3C21)は「MATRIS Light(マトリスライト)」を、ヤマザキマザック(3A02)は「デジタル段取り」を自動化のシステムとして出展。

これらの自動化システムには共通するキーワードがあった。「付加価値の高い仕事は人がやる」である。工具の付け替えなど、人がやることに特別な意義が無く、負担が掛かるだけの仕事はロボットが肩代わりする。そして精度の追求など、工作の根幹の部分に人が集中できる環境を自動化によって作り出すのだ。人と機械が仕事を取り合うのではなく、共存する。自動化の意味を誤解していたと痛感した。

自動化パッケージに人だかり/牧野フライス製作所

「DA300 自動化パッケージ」はデザインにも注目

牧野フライス製作所(3B02)が披露する「DA300 自動化パッケージ」が人気を集めている。5軸立形マシニングセンタ(MC)のDA300と40枚のワークストッカー、スケジュール管理ソフトウエア、工具交換装置をパッケージ化した。特に目を引くのはワークストッカーの外観デザイン。またブースのデザインも、人工芝を敷き詰めるなど環境配慮をイメージさせるものとなっており、来場者を楽しませている。

ビュンビュン飛んでます

 ポートメッセなごやの1号館と2号館、イベント館の間にある屋外休憩所で臨時の無料Wi-Fi(ワイファイ)サービスが利用できる。専用車両の近くに張られたテントの下にはテーブルとイスも用意され、食事や休憩の時間でも、時間や通信料金を気にすることなく、パソコンやスマートフォン、タブレット端末などが利用できる。

ベストセラー機の後継機を披露/OKK

OKK(3D10)は立形マシニングセンタの新製品「VM53RⅡ」を出品する。ベストセラーの「VMR」シリーズの後継機種「VMRⅡ」シリーズとして、会期前の10月12日に発表したばかりだ。コラムの鋳物の形状を見直して剛性がアップした他、主軸ヘッドの冷却性能も向上した。

会場では、来場者の希望に応じて随時、重切削の平削りと高送り加工を披露する。説明員の並河裕希さんは「わが社の基幹となる製品。実演を通じて、剛性の高さを実感してほしい」と語る。

工具コストを抑える/ユニオンツール


Valueシリーズは、シャンク径3mm、全長38mmに規格化した超硬エンドミル

ユニオンツール(2A15)が出品する「Value(バリュー)シリーズ」は、シャンク径3mm、全長38mmに規格化した超硬エンドミルだ。同社が得意のプリント基板(PCB)用工具の量産技術をエンドミルに展開することで、求めやすい価格を実現した。ロックウエル硬さ(HRC)40以上の高硬度材の加工に向き、金型や半導体、医療などの分野がメインのターゲットだ。