CFRP用のレーザ加工機を開発/三菱電機

5軸のレーザーヘッドで曲面も自在に加工できる

三菱電機(3B01)は、10月18日に発売した炭素繊維強化プラスチック(CFRP)用レーザ加工機「CVシリーズ」を展示した。発振器と増幅器を同一にした炭酸ガスレーザーの発振器を開発。融解温度の異なる炭素繊維と樹脂に対応するため、波形の動きが激しいパルス波と高出力を両立した。切削加工やウォータージェット加工よりも約6倍の加工速度を誇る。また切れ味が鋭く、加工断面に炭素繊維の飛び出しもない。

清水則之執行役員は「自動車業界では二酸化炭素の排出量削減や電気自動車での採用を前提に、車体の軽量化を求められ、CFRPが注目を浴びる。 CFRP を熱間プレスで加工すると余分な取り代が出る。その2次加工に有効に使える」と胸を張る。

各種加工機の技術を融合/三菱電機清水則之執行役員

清水則之執行役員・FAシステム事業本部副事業本部長兼産業メカトロニクス事業部長

非常に受注状況が良く、感染状況が落ち着いた状況でリアルの展示会を迎えられ、来場者の多さに驚いた。今回展は新製品や新技術を多く発表した。レーザ加工機の技術を進化させた「炭素繊維強化プラスチック(CFRP)用レーザ加工機」が注目を集めている。さらに、ワイヤ放電加工機に自社開発の人工知能(AI)「Maisart(マイサート)」を搭載し、生産性向上や熟練工が判断していた加工条件の設定を初心者でも簡単にできる。

また展示はサンプルワークのみだが、ワイヤを素材にした付加製造(AM)装置の開発も進める。ワイヤ放電加工機で培ったワイヤ送りの技術とレーザ加工機のレーザー光の扱いのノウハウを組み合わせ、従来のワイヤ式のAMワークよりも精度を格段に向上できた。今後は各種加工機で培った技術やノウハウを組み合わせて、シナジーを発揮するのが大切と思う。そういった思いが各所にあふれる展示ブースにできたと満足している。多くの人に見てもらいたい。

振れ精度高めたコレットチャック/アルプスツール

振れ精度を改善した「ARコレット」

アルプスツール(1D59)は独自ブランドのコレットチャック「ARコレット」を展示した。ARコレットは全品検査をした上で等級分けをしており、振れ精度の社内等級の呼称を従来の「S級」から「A級」に改め、振れ精度を10μmから8μmに高めた。「検査基準を厳しくし、品質の良さをアピールしたい」とマーケティング担当者は語る。
 この他、直径20mmまでの棒材を供給する新型のバーフィーダーも参考出展した。

「これまでは小間内に数多くの製品を展示していたが、一つ一つの製品にもっと焦点を当ててPRするため、今回は製品点数をあえて絞った」とマーケティング担当者は説明する。

EV部品向け2機種、「JTEKT」ロゴに/ジェイテクト

小型円筒研削盤「e300GPi-HYPER」

ジェイテクト(3C18)は小型円筒研削盤「e300GPi-HYPER(ハイパー)」と立形マシニングセンタ「FV7000Z」の2機種を披露した。両機とも電気自動車(EV)の部品加工向けで、 e300GPiはEV用モーターシャフトの研削加工に力を発揮する。「コンパクトな機械だが、砥石(といし)軸の出力を高めて生産性も向上させた」と工作機械・システム事業本部の井土雅裕執行副本部長は説明する。
 また、ロゴマークも従来の「TOYODA」から社名の「JTEKT」に変更した。

IoTの新機能を参考出品/トーヨーエイテック

トーヨーエイテック(3C17)は、自社製NC装置「TOYOMATC(トーヨーマチック)」の4つの新機能を参考出品した。CO2排出量を可視化する「CO2モニタ」や、データを共有してリモートでメンテナンスをするサービスにカメラ映像を追加する「カメラオプション」など、モノのインターネット(IoT)関連の機能も強化した。

工機開発設計部電気設計課の上杉燎平さんは「IoT技術は常に進歩している。新機能を見てもらいたい」と話す。

【活躍する説明員】多くの来場者に伝えたい/DMG森精機

DMG森精機(3C21)で「MATRIS Light(マトリスライト)」のプレゼンターを務める山崎遥さんは、普段は工作機械の納品、据え付けをするエンジニア。マトリスライトは手押し台車に協働ロボットを搭載した移動可能なロボットシステムで、工作機械のワーク脱着などをする。

3号館入口すぐのブースには大勢の来場者が訪れ、プレゼンに耳を傾けるが、「会期前日のリハーサルが一番緊張した。今日はリラックスしてお話しできている。多くの来場者に、簡単に導入、立ち上げできるマトリスライトのメリットを伝えたい」と話す。

【会場でもらった!】自社サービスをPR/ヤマザキマザック

「Mazak iCONNECT」をPRしたトートバッグとせんべい

ヤマザキマザック(3A02)ではトートバッグとせんべいがノベルティーだ。オンラインマニュアルやeラーニングなどのサービスを提供する「Mazak iCONNECT(マザックアイコネクト)」のロゴがプリントされている。

せんべいにプリントされているQRコードからはサービスの紹介ページにアクセスできる。トートバッグはオーガニックコットンを素材としており、環境に配慮する。トートバッグはアンケートの回答者に先着で配布する。数量限定なのでご注意を。

【新人記者の視点】ミニチュア模型に魅せられて

トーヨーエイテック 立形複合研削盤「TVG-40S」のミニチュア模型

今回のMECTでは映像を使って製品を紹介する企業が多い。特徴を分かりやすく伝えられるのが映像の利点だ。

その中で異彩を放つのがミニチュア模型だ。模型を見ただけでは機械がどのような性能か分からない。しかし、一目で機械全体の構成を見ることができるのは、ミニチュア模型ならではの魅力。

トーヨーエイテック(3C17)には、立形複合研削盤「TVG-40S」のミニチュア模型がある。スケールは驚異の10分の1。模型好きな私は精緻なパーツに思わず目を奪われる。「ミニチュアを作るのに軽自動車1台分の費用が掛かった」と藤井智俊シニアエキスパートは言う。その言葉も納得のクオリティーだった。

【新人記者の視点】MECT開幕

開会式でのテープカットの様子

メカトロテックジャパン(MECT)2021が10月20日に開幕した。

前回のMECT2019から今回のMECT2021の間に新型コロナウイルス感染症が流行し、状況が大きく変わった。企業は展示会などの新製品を大々的にPRする場を失った。そうした中で開幕した今回のMECT。出展者同士で「なんだか同窓会のような雰囲気だな」と話し合う言葉が聞こえた。FA業界に飛び込んだばかりの新人記者でも、出展者の感慨にふける気持ちをひしひしと感じた。

[注目の初出展企業]まずは認知度向上へ/岩本工業

クーラントサーバー「楽~ラント」の認知度向上に取り組む

MECT2021に初めて出展する岩本工業(1A22)は、自社開発のクーラントサーバー「楽~ラント」のPRに注力する。楽~ラントはこれまで人手作業に依存していた切削液補充の作業を自動化する装置だ。切削液を指定の濃度まで希釈し、工作機械に自動で供給する。
 「楽~ラントは社内の改善活動の中で生まれた。ニッチな商品なので、MECTを通じてまずは認知度を高めたい」と担当者は意気込む。