EV部品向けにFSW提案/ヤマザキマザック

FSWで製作したモーターケース

「環境対応」「自動化」「デジタル製造」の3つのテーマを掲げ、ファイバーレーザ加工機の新製品「STX-2412」など6台の工作機械を出展したヤマザキマザック(3A02)。
 環境対応の分野では、脱炭素社会の進展と合わせて今後の需要拡大が見込まれる電気自動車(EV)の部品加工向けに、摩擦撹拌(かくはん)接合(FSW)技術を提案した。実機こそ展示しなかったものの、FSWと切削加工で製作したEV用モーターケースなどのサンプルワークを複数点披露した。「FSWと切削加工を融合したハイブリッド複合加工機を2014年に市場投入して以来、FSWの専用工具や機械制御、加工ノウハウを磨いてきた。最近はEV部品向けにも需要が増えている」と堀部和也上席執行役員は語る。

「ハイブリッド展示」でPR/ブルーム-ノボテスト

動画と実機のハイブリッドで自社製品を紹介

ブルーム-ノボテスト(2C28)は、動画と実機の「ハイブリッド展示」で自社製品をPRする。実機を展示して来場者に詳しく製品の特徴を紹介すると共に、小間内に人が密集するのを防ぐために大型モニターで動画も発信し、遠くからでも製品の特徴が分かるよう工夫した。
 展示の目玉は「ポータブルスピンドルコントロール(PSC)」。工具測長用のレーザーシステム「LC50-DIGILOG(デジログ)」と、測定データを解析して主軸の振れなどを可視化するソフトウエア「LC-VISION(ビジョン)」を組み合わせたポータブル装置だ。同社製のレーザーシステムが搭載されていない工作機械でも、主軸の振れを可視化でき保全やサービスに生かせる。

工程集約で「多品種」狙う/村田機械

6/8インチチャックの正面型2スピンドルターニングセンタでは初めてY軸機能を搭載

村田機械(3A06)は今年9月に発売した正面型2スピンドルターニングセンタ(TC)の新製品「MWR120」を披露した。同社によると、6/8インチサイズの正面型2スピンドルTCの中では初めてY軸機能を搭載したという。工程集約で段取り回数を削減し、多品種中量のワークを効率的に生産する。主なターゲットは一般産業機械の部品などだ。「従来は自動車部品の量産を得意としてきたが、今後は多品種中ロット生産の領域にも注力する。多品種のワークの加工では段取り替えが課題になるが、工程集約を通じて省段取りを実現したい」と担当者は語る。
 また、オートティーチング(教示)機能を搭載して再教示の作業を不要にした新型ガントリーローダー「FLEX EZ LOADER LOPROSS(フレックス・イージー・ローダー・ロプロス)」も参考出展した。

[出展者ワークショップ]変種変量生産の自動化システム紹介

変種変量生産の自動化システムをワークショップで紹介

松本機械工業(1C73)は初日、「変種変量生産対応コンパクト自動化システム」と題したワークショップを開き、チャックの爪交換の自動化システム「Smart Terrace(スマートテラス)AIO」を紹介した。
 スマートテラスはワークの脱着やチャックの爪交換を自動化できるパッケージシステム。使用するロボットに応じて「AIO12」「AIO16」「AIO35」の3機種を用意する。省スペースな上、立ち上げも簡単なのが特徴で、変種変量生産の自動化に貢献する考えだ。会場でも同社小間で実機展示をしている。

自動車の来月からの回復に期待/タンガロイ

タンガロイ の 和田健二中部支店長は「来月からの回復に期待している」と 話す

タンガロイ(2A22)は溝入れ工具の「AddInternalCut(アド・インターナル・カット)」や「AddForceCut(アド・フォース・カット)」をはじめとする新製品群、「ADDシリーズ」の拡販に力を入れる。和田健二中部支店長は「自動車産業の稼働率が下がっており、特に中部市場の市況は厳しい。しかし来月からの回復に期待している」と、来場者へのPRにも熱がこもる。

AGVでワーク回収し補正値送信も

奥の自動旋盤からワークを回収して左奥で自動計測

スター精密(3C15)の主力製品はスイス型CNC自動旋盤だが、影の目玉出展はこちら。
協働ロボットを無人搬送車(AGV)に搭載し、自動旋盤で加工したワークを回収するシステムを実演展示している。
洗浄後に乾燥させたワークを自動計測し、良品と不良品を仕分けるのはもちろん、良品から加工補正値を割り出し、補正値を自動旋盤に送信する仕組みだ。
「展示スペースの都合で1台での実演だが、1台のAGVに複数の自動旋盤を担当させれば、順次ワークを回収しながら、それぞれの加工機に補正値を送信し続けることで無人工場を実現できる」(説明員)という。

セミナーが始まる

にぎわうセミナー会場

交流センター3階の会議ホールでは、主催者企画のセミナーが始まった。

初回はトヨタ自動車生産本部衣浦工場の野村英司工場長が登壇し、「カーボンニュートラルを見据えたモノづくりの進化」のテーマで講演した。

業界トップクラスの同社の今後の方向性を学び取ろうと、来場者は熱心に聞き入っていた。

コンセプトゾーン注目集める

コンセプトゾーンではロボットの最新技術を展示

1号館の特設会場で実施する主催者企画のコンセプトゾーンでは、「未来を変える新時代の自動化」をテーマに、生産現場に最適な産業用ロボットの活用法や高度化したシステムなどを紹介している。

さまざまな種類の物を持ち上げて運搬するロボットや、中小企業でも導入しやすいシステムなどを4つのゾーンで取り上げる。来場者が直接触れてロボットに動作を教えられたり、ロボットと作業の早さを競える体験ブースを設けた。

本当に待ち遠しかった/シチズンマシナリー中島圭一社長

シチズンマシナリー(3D20)の中島圭一社長

本当に久しぶりのリアルの展示会。機械を見てもらうのが展示会の醍醐味(だいごみ)と思う。非常に待ち遠しく、楽しみ過ぎて今朝も早起きしてしまった。工作機械業界の景況が上向きのタイミングで開かれるので、活発な商談も期待している。

今回は「シチズンの総合力」をアピールしたい。もともと、業界に先駆けて機械のモノのインターネット(IoT)対応を進めていた。さらに今回は、時計型の端末「スマートウォッチ」で幅広い情報を参照できるシステムを参考出展した。シチズンならではの試みだ。機械プラスα(アルファ)の「時代の半歩先を行く」提案で、これからも顧客の課題を解決していく。

007のように工作機械を操作/シチズンマシナリー

シチズンマシナリー(3D20)は工作機械の状態監視をできる時計型の端末「スマートウォッチ」を参考出展した。モノのインターネット(IoT)でつながり、稼働状況などを表示できる。機械のトラブル時には目立つ表示でトラブルの内容を担当者に直接伝えられ、効率よく対応できる。

柳平茂夫執行役員は「シチズン時計と連携して開発できるわが社ならではの提案。生産現場では即時の情報をその場ですぐ閲覧できることに価値がある。今は各種情報の閲覧のみだが、いずれはスパイ映画『007』のジェームズ・ボンドのように、機械を操作できるようにしたい」と今後の開発に意気込む。