牧野フライス製作所と提携の「ヘールバイト」/OSG

 オーエスジー(OSG、2A24)は今回展で多くの新製品を初披露した。中でも珍しいのは、牧野フライス製作所との業務提携で生まれた「ヘールバイト」だ。OSG傘下の日新ダイヤモンドが製造する。
 ヘール加工とは真空チャンバーや真空バルブのシール面を加工するための加工で、面粗さ(Ra)0.4㎛を実現するために、これまではエンドミルで円弧状に切削した後に、ウレタン製のスポンジやスポンジ研磨材を使った手磨きが必要だった。
 牧野フライス製作所とOSGの提携で生まれた、対象マシニングセンタでのスーパーヘール加工制御とスーパーヘール用バイトの組み合わせで、送り速度が毎分6000mmの高速加工とRa0.4㎛の高い面粗度を同時に実現。これまでのヘール加工と比べ加工時間を80%削減できる。
 製造する日新ダイヤモンドは単結晶ダイヤモンド工具の製造に強みを持つ。神谷伸顕社長は「単結晶ダイヤモンドは高価との懸念を払しょくし、導入のハードルを下げたい。加工のトータルコストは下げられる」と意気込む。

やっぱりリアル展はいい/牧野フライス精機清水大介社長

オンライン展と違い、来場者に実機を触ってもらいながらじっくりと説明し、機械の細部まで見てもらえる。来場者の反応がその場で分かり、出展機への理解も進むと思う。やっぱりリアル展はいいですね。

リアル展で本物の機械を見てほしい/オークマ家城淳社長

MECT2021の開会式で登壇した家城淳社長

オークマ(3D01)は、「自動化」と「脱炭素」をテーマに据え、3機種を展示した。

複合加工機内にロボットを搭載した自動化システム「MULTUS B250ⅡARMROID(アームロイド)」や、ワンチャックでミーリングと旋削、ギア加工が可能な5軸制御立形マシニングセンタ「MU-4000V-L」などを披露した。

また、工場内の脱炭素化に向けた同社の環境対応製品や取り組みを、①必要なエネルギーを減らす②不要な機器は止める③機械の動作時間を短縮する――の3つのポイントに分け、大きなパネルを展示し、「脱炭素」をアピールした。

同社の家城淳社長は、「久しぶりのリアル展で、本物の機械を来場者に見てもらいたい。市場の要求が高まっている脱炭素も今回展で注目してもらいたい」と話した。

AGVでワーク回収し補正値送信も

奥の自動旋盤からワークを回収して左奥で自動計測

スター精密(3C15)の主力製品はスイス型CNC自動旋盤だが、影の目玉出展はこちら。
協働ロボットを無人搬送車(AGV)に搭載し、自動旋盤で加工したワークを回収するシステムを実演展示している。
洗浄後に乾燥させたワークを自動計測し、良品と不良品を仕分けるのはもちろん、良品から加工補正値を割り出し、補正値を自動旋盤に送信する仕組みだ。
「展示スペースの都合で1台での実演だが、1台のAGVに複数の自動旋盤を担当させれば、順次ワークを回収しながら、それぞれの加工機に補正値を送信し続けることで無人工場を実現できる」(説明員)という。

旋盤の上にロボットを

タカハシキカイ(3C12)は、くし刃型NC旋盤にロボットを搭載して展示する。ロボットを機械の上に取り付けているため、非常に省スペースで、人の作業の邪魔にもならない。設置用のフレームはガントリーローダーと共用で「サイクルタイムが早ければガントリーローダー、少量多品種ならロボットが最適」と小林直樹名古屋営業所所長は言う。会場に行けない遠方の顧客向けに、会場からライブ配信も予定する。

※この記事の再編集版は公式メディア「robot digest(ロボットダイジェスト)」にも掲載予定

手軽に手動で機上計測

岡本工作機械製作所(3D14)は「研削と測定」をテーマに、新開発の機上計測システム「Quick Touch(クイックタッチ)」をアピールする。平面研削盤や成形研削盤をそのまま計測装置として使うもので、手動操作でタッチプローブをワークに振れさせ、ワークの厚みを計測する。ワークに触れた瞬間に力を逃がす独自制御により、プローブの破損を防ぐ。「加工後にワークを取り外すことなく計測できる。プログラムの作成も不要のため、現場で使いやすい」と西上和宏マーケティングチーム長は言う。

自動旋盤をさらに自動化

ツガミ(3A08)は、ロボットを使い自動旋盤のさらなる自動化を提案する。切り落とした加工後のワークの整列作業を、安全柵なしで使える協働ロボットが担う。「二次加工や測定工程がある場合、これまでは人手で整列させており、自動化したいとのニーズが高かった」(中部営業部)。

※この記事の再編集版は公式メディア「robot digest(ロボットダイジェスト)」にも掲載予定