中小も導入しやすい自動搬送付きMC

2機種目となる 機内自動搬送装置「E-Loader」 付きの立形MC

エンシュウ(3B04)は、主軸テーパー30番型の立形マシニングセンタ「GE30Ve」に、機内自動搬送装置「E-Loader(ローダー)」を取り付けた「GE30Ve+E-Loader」を初出展した。

E-Loader付きのMCとしては2機種目。従来機「WE30Ve+E-Loader」と比べ、軸の移動量をX軸600×Y軸800×Z軸400mmに増やし、ワークの可搬質量は片方のアームにつき5倍の50kgに高めることで、顧客の幅広い自動化ニーズに応えられる。

搬送ローダーの駆動源には、MCのX軸を利用する。「ロボットやガントリーローダーでの自動化よりも簡易的で、中小企業でも導入しやすい」と担当者は説明した。

今年発売の新製品が続々と

アマダの 順送プレス加工自動化システム 「SDEW8010iⅢ + ALFAS-03ARZ」

アマダ(3D21)は、「次世代のものづくりにつなぐ最新ソリューション」をテーマに、今年発売したばかりの新製品を続々と披露した。プレスとレーザー、研削加工の分野で、5つの機械やシステムを展示した。

目玉の一つのファイバーレーザ加工機「BREVIS-1212AJ」は、薄板から厚板まで加工できるのが特徴で、最大ワークサイズは1270×1270mm。従来機よりも小型で、「スペースが限られる工場などに導入しやすい」(説明員)。

「SDEW8010iⅢ + ALFAS-03ARZ」は、サーボプレス加工機と高速なロールフィーダーを組み合わせた順送プレス加工自動化システムで、急速に進むEV化に向けて開発された。加工機とフィーダーの操作盤を1つにすることで、操作性を高めた。「自動車の集積地の中部地域で、EV対応の製品をアピールしたい」と説明員は意気込む。

EV部品向け2機種、「JTEKT」ロゴに/ジェイテクト

小型円筒研削盤「e300GPi-HYPER」

ジェイテクト(3C18)は小型円筒研削盤「e300GPi-HYPER(ハイパー)」と立形マシニングセンタ「FV7000Z」の2機種を披露した。両機とも電気自動車(EV)の部品加工向けで、 e300GPiはEV用モーターシャフトの研削加工に力を発揮する。「コンパクトな機械だが、砥石(といし)軸の出力を高めて生産性も向上させた」と工作機械・システム事業本部の井土雅裕執行副本部長は説明する。
 また、ロゴマークも従来の「TOYODA」から社名の「JTEKT」に変更した。

振れ精度高めたコレットチャック/アルプスツール

振れ精度を改善した「ARコレット」

アルプスツール(1D59)は独自ブランドのコレットチャック「ARコレット」を展示した。ARコレットは全品検査をした上で等級分けをしており、振れ精度の社内等級の呼称を従来の「S級」から「A級」に改め、振れ精度を10μmから8μmに高めた。「検査基準を厳しくし、品質の良さをアピールしたい」とマーケティング担当者は語る。
 この他、直径20mmまでの棒材を供給する新型のバーフィーダーも参考出展した。

「これまでは小間内に数多くの製品を展示していたが、一つ一つの製品にもっと焦点を当ててPRするため、今回は製品点数をあえて絞った」とマーケティング担当者は説明する。

【活躍する説明員】多くの来場者に伝えたい/DMG森精機

DMG森精機(3C21)で「MATRIS Light(マトリスライト)」のプレゼンターを務める山崎遥さんは、普段は工作機械の納品、据え付けをするエンジニア。マトリスライトは手押し台車に協働ロボットを搭載した移動可能なロボットシステムで、工作機械のワーク脱着などをする。

3号館入口すぐのブースには大勢の来場者が訪れ、プレゼンに耳を傾けるが、「会期前日のリハーサルが一番緊張した。今日はリラックスしてお話しできている。多くの来場者に、簡単に導入、立ち上げできるマトリスライトのメリットを伝えたい」と話す。

IoTの新機能を参考出品/トーヨーエイテック

トーヨーエイテック(3C17)は、自社製NC装置「TOYOMATC(トーヨーマチック)」の4つの新機能を参考出品した。CO2排出量を可視化する「CO2モニタ」や、データを共有してリモートでメンテナンスをするサービスにカメラ映像を追加する「カメラオプション」など、モノのインターネット(IoT)関連の機能も強化した。

工機開発設計部電気設計課の上杉燎平さんは「IoT技術は常に進歩している。新機能を見てもらいたい」と話す。

まずは感染しないことを第一に/ユキワ精工 酒巻弘和社長

ユキワ精工の酒巻弘和社長

「新型コロナウイルスの感染者は減少しているが、まずは『感染しないことを第一』に、気を抜かずに臨む」と話すのはユキワ精工(1D16)の酒巻弘和社長だ。感染対策を徹底した上で、同社は会場でツールホルダー「スーパーG1チャック」をアピールする。「この製品を知らない人たちは損をしていると思う。MECT2021で、この製品を中部圏の多くのユーザーに知ってほしい」と話す。

【会場でもらった!】自社サービスをPR/ヤマザキマザック

「Mazak iCONNECT」をPRしたトートバッグとせんべい

ヤマザキマザック(3A02)ではトートバッグとせんべいがノベルティーだ。オンラインマニュアルやeラーニングなどのサービスを提供する「Mazak iCONNECT(マザックアイコネクト)」のロゴがプリントされている。

せんべいにプリントされているQRコードからはサービスの紹介ページにアクセスできる。トートバッグはオーガニックコットンを素材としており、環境に配慮する。トートバッグはアンケートの回答者に先着で配布する。数量限定なのでご注意を。

【新人記者の視点】ミニチュア模型に魅せられて

トーヨーエイテック 立形複合研削盤「TVG-40S」のミニチュア模型

今回のMECTでは映像を使って製品を紹介する企業が多い。特徴を分かりやすく伝えられるのが映像の利点だ。

その中で異彩を放つのがミニチュア模型だ。模型を見ただけでは機械がどのような性能か分からない。しかし、一目で機械全体の構成を見ることができるのは、ミニチュア模型ならではの魅力。

トーヨーエイテック(3C17)には、立形複合研削盤「TVG-40S」のミニチュア模型がある。スケールは驚異の10分の1。模型好きな私は精緻なパーツに思わず目を奪われる。「ミニチュアを作るのに軽自動車1台分の費用が掛かった」と藤井智俊シニアエキスパートは言う。その言葉も納得のクオリティーだった。

[注目の初出展企業]まずは認知度向上へ/岩本工業

クーラントサーバー「楽~ラント」の認知度向上に取り組む

MECT2021に初めて出展する岩本工業(1A22)は、自社開発のクーラントサーバー「楽~ラント」のPRに注力する。楽~ラントはこれまで人手作業に依存していた切削液補充の作業を自動化する装置だ。切削液を指定の濃度まで希釈し、工作機械に自動で供給する。
 「楽~ラントは社内の改善活動の中で生まれた。ニッチな商品なので、MECTを通じてまずは認知度を高めたい」と担当者は意気込む。