AGVでワーク回収し補正値送信も

奥の自動旋盤からワークを回収して左奥で自動計測

スター精密(3C15)の主力製品はスイス型CNC自動旋盤だが、影の目玉出展はこちら。
協働ロボットを無人搬送車(AGV)に搭載し、自動旋盤で加工したワークを回収するシステムを実演展示している。
洗浄後に乾燥させたワークを自動計測し、良品と不良品を仕分けるのはもちろん、良品から加工補正値を割り出し、補正値を自動旋盤に送信する仕組みだ。
「展示スペースの都合で1台での実演だが、1台のAGVに複数の自動旋盤を担当させれば、順次ワークを回収しながら、それぞれの加工機に補正値を送信し続けることで無人工場を実現できる」(説明員)という。

ワーク搬送、着脱のロボシステム2台を披露

自律走行型のロボットシステム 「 WH-AGV5 」のデモを披露した

DMG森精機(3C21)は「5軸複合化」「自動化」「デジタル化」をテーマに、ロボットシステムの実機や、計測システムのプレゼンテーションなどを見せた。

テーマの一つの「自動化」では、ワークの搬送や着脱を自動化できるロボットシステム2台を披露した。「MATRIS Light(マトリスライト)」は、台車に協働ロボットを搭載したシステムで、手で押して簡単に移動でき、多品種少量生産に向く。

「WH-AGV5」は、独自の無人搬送車(AGV)と安川電機の協働ロボットを組み合わせた、自律走行型のシステムだ。磁気テープやマーカーなしで走行でき、35mmの段差も乗り越えられる。会場では、WH-AGV5が直径27mmの丸パイプをつかんで搬送し、直径28~30mmの連続した3つの穴に丸パイプを入れるデモンストレーションを披露した。「協働ロボットに搭載されたカメラが、エイプリルタグを読み取る。タグを読み取った角度を認識するため、ロボットがどんな姿勢でも高精度な位置決めができる」と説明員は話す。

その他には、同社が主催する優れた切削加工ワークを表彰する「第16回ドリームコンテスト」の受賞作品も展示した。

セミナーが始まる

にぎわうセミナー会場

交流センター3階の会議ホールでは、主催者企画のセミナーが始まった。

初回はトヨタ自動車生産本部衣浦工場の野村英司工場長が登壇し、「カーボンニュートラルを見据えたモノづくりの進化」のテーマで講演した。

業界トップクラスの同社の今後の方向性を学び取ろうと、来場者は熱心に聞き入っていた。

来年開催のロボット・自動化展もPR

1号館には、来年6月30日~7月2日開催の産業用ロボットと自動化システムの専門展「ROBOT TECHNOLOGY JAPAN(ロボットテクノロジージャパン、RTJ)2022」の出展相談をするためのブースもある。MECT2021と同じ主催者が開催する展示会だ。「説明を聞くだけ、パンフレットを持って帰るだけでもいいので、まずは気軽にブースまで来ていただければ」と担当者は言う。

※この記事の再編集版は公式メディア「robot digest(ロボットダイジェスト)」にも掲載予定

コンセプトゾーン注目集める

コンセプトゾーンではロボットの最新技術を展示

1号館の特設会場で実施する主催者企画のコンセプトゾーンでは、「未来を変える新時代の自動化」をテーマに、生産現場に最適な産業用ロボットの活用法や高度化したシステムなどを紹介している。

さまざまな種類の物を持ち上げて運搬するロボットや、中小企業でも導入しやすいシステムなどを4つのゾーンで取り上げる。来場者が直接触れてロボットに動作を教えられたり、ロボットと作業の早さを競える体験ブースを設けた。

なんでもつかめる来月発売の万能ハンド

THK(1B19)は多彩な製品を展示するが、目玉の一つが来月発売予定のロボットハンド「ならいハンドユニット」だ。ハンドの把持面がワーク形状に倣うため、ハンド交換なしでさまざまな物をつかめる。接触点が多くなるため、把持による各接点の圧力が少なく、搬送時の破損リスクも軽減できる。挟んでつかむ「ならいグリップハンド」と吸い付けて搬送する「ならい吸着ハンド」の2タイプをラインアップする。

※この記事の再編集版は公式メディア「robot digest(ロボットダイジェスト)」にも掲載予定

旋盤の上にロボットを

タカハシキカイ(3C12)は、くし刃型NC旋盤にロボットを搭載して展示する。ロボットを機械の上に取り付けているため、非常に省スペースで、人の作業の邪魔にもならない。設置用のフレームはガントリーローダーと共用で「サイクルタイムが早ければガントリーローダー、少量多品種ならロボットが最適」と小林直樹名古屋営業所所長は言う。会場に行けない遠方の顧客向けに、会場からライブ配信も予定する。

※この記事の再編集版は公式メディア「robot digest(ロボットダイジェスト)」にも掲載予定

手軽に手動で機上計測

岡本工作機械製作所(3D14)は「研削と測定」をテーマに、新開発の機上計測システム「Quick Touch(クイックタッチ)」をアピールする。平面研削盤や成形研削盤をそのまま計測装置として使うもので、手動操作でタッチプローブをワークに振れさせ、ワークの厚みを計測する。ワークに触れた瞬間に力を逃がす独自制御により、プローブの破損を防ぐ。「加工後にワークを取り外すことなく計測できる。プログラムの作成も不要のため、現場で使いやすい」と西上和宏マーケティングチーム長は言う。

自動旋盤をさらに自動化

ツガミ(3A08)は、ロボットを使い自動旋盤のさらなる自動化を提案する。切り落とした加工後のワークの整列作業を、安全柵なしで使える協働ロボットが担う。「二次加工や測定工程がある場合、これまでは人手で整列させており、自動化したいとのニーズが高かった」(中部営業部)。

※この記事の再編集版は公式メディア「robot digest(ロボットダイジェスト)」にも掲載予定

本当に待ち遠しかった/シチズンマシナリー中島圭一社長

シチズンマシナリー(3D20)の中島圭一社長

本当に久しぶりのリアルの展示会。機械を見てもらうのが展示会の醍醐味(だいごみ)と思う。非常に待ち遠しく、楽しみ過ぎて今朝も早起きしてしまった。工作機械業界の景況が上向きのタイミングで開かれるので、活発な商談も期待している。

今回は「シチズンの総合力」をアピールしたい。もともと、業界に先駆けて機械のモノのインターネット(IoT)対応を進めていた。さらに今回は、時計型の端末「スマートウォッチ」で幅広い情報を参照できるシステムを参考出展した。シチズンならではの試みだ。機械プラスα(アルファ)の「時代の半歩先を行く」提案で、これからも顧客の課題を解決していく。