【新人記者の視点】デッキから見える景色

「MECTはとにかく歩く」と先輩から聞いていたが、想像を超えて歩いている。開催初日の今日は、準備や取材のために2万歩近く歩いた。
 今回展は、新1号館が出来てから初めてのMECT。新1号館と2号館、3号館を行き来するには、歩行者デッキを歩く必要がある(来場者の皆さまにはお足労をお掛けします……)。午前10時の開場直後は多くの人でごった返しており、さながら民族大移動のようだった。しかし、誘導員や通路を分けるポールが配置されているわけではない。自然発生的にそうなっていた。実に日本人らしい。すれ違う人々から「次は〇〇を見に行きたい」と話す声がちらほら聞こえるのが主催者側としてはうれしい。
 閉会間際にはオレンジがかった空と名港中央大橋の白い橋梁(きょうりょう)、そして海が見えた。疲れた足腰が少し癒された瞬間だった。

[出展者の声]3つの社会課題に応えるソリューション/オークマ 家城淳社長

オークマ(1D33)の家城淳社長

わが社は「『ものづくりサービス』の力で社会に貢献する」というパーパス(企業の存在意義)を掲げている。創業から今年で125年を迎えるが、お客さまが抱える課題に対するソリューションをその時々のニーズに沿った形で提供してきた。現在の製造業は自動化・省人化、脱炭素化、デジタル活用の3つの社会課題に直面しており、わが社はこれら3つの社会課題に応えるソリューションをMECT2023で提案している。

MECT2023は初日から大勢の来場者でにぎわいを見せた。来場者の興味関心がどこまで実需につながるか、今後に期待したい。

コンセプトゾーンに注目集まる

3号館の特設会場で実施する主催者企画展示ゾーン(コンセプトゾーン)では、「驚きのスゴ技」をテーマに、研削加工と微細加工、5軸加工のそれぞれに込められた“門外不出”の加工技術の一端を紹介している。

アクリルから実物大の昆虫を削りだしたワークや、ファインセラミックス素材の表面を平滑に削り出したワーク、5軸マシニングセンタでしか加工できない形状のMECTオリジナルワークを3つのゾーンで紹介する。

初日の様子

初日の会場の様子です。新第1展示館と第2展示館、第3展示館のいずれも大勢の来場者でにぎわいました。

新製品「GREEN TAP」を発表/オーエスジー

 オーエスジー(2B28)は10月18日、コンベンションセンターで新製品「GREEN TAP(グリーンタップ)」を発表した。

 グリーンタップは塑性加工でねじを加工する「盛上げタップ」で、加工時に切りくずが発生しない。また、独自の製法により、一般的な盛上げタップとは異なる刃部形状を採用。製造時に排出される二酸化炭素(CO₂)の量を従来比で半減した。

 開発グループ穴開け開発チームの溝口哲也さんは「工具性能と環境への配慮の両立を実現できた」と胸を張る。グリーンタップは来年をめどに、M1~M6までのサイズで発売を計画している。

独SWとの協業を発表、会場で説明会開催/エンシュウ

エンシュウの鈴木敦士社長兼COO(=左)とSWのステファン・ウェーバー最高経営責任者(=右)

エンシュウ(1B29)は10月12日、ドイツの多軸マシニングセンタ(MC)メーカーのSWとの協業に向けて協議を開始したと発表した。両社は会期初日の18日、コンベンションホールの会議室で代理店や報道関係者らを招いて説明会を開催した。

SWは2本~4本の主軸を持つ多軸MCを得意とし、近年は電気自動車(EV)向けの部品加工でも多くの実績を持つ。エンシュウは協業を通じ、まずは日本の顧客に向けてSWの多軸MCの据え付けや保守パーツの供給などを担う。将来的には日本市場への販売も手掛けるようになるという。鈴木敦士社長兼最高執行責任者(COO)は「自動車業界は大変革期に直面しているが、SWと協業すればお客さまの幅広いニーズに応えられる」と話す。

【開会レセプション】4年ぶりの開催、業界関係者同士で懇親深める

多くのFA業界関係者でにぎわった開会レセプション

会期初日の正午〜午後1時、ポートメッセなごやのイベント館で「開会レセプション」が開かれた。レセプションの開催は4年ぶり。多くのFA業界の関係者が参加し、懇親を深めた。

主催者のニュースダイジェスト社からは八角秀常務が登壇。「リアルとウェブ、どちらか片方で十分ということではない。ウェブが発達するほど、リアルな展示会も存在価値が増す」とあいさつした。

また、出展者代表として、牧野フライス製作所(1A16)の宮崎正太郎社長が乾杯の音頭を取った。

かわいいにだまされるな/日本精工

3号館に入るとかわいらしさに目を奪われる

日本精工(3C09)は参考出展の「Active Caster(アクティブキャスター)」を使い、かわいらしさを演出している。アクティブキャスターは、全方向移動やその場回転ができ、独自技術の採用で従来にないコンパクトさを実現した。担当者は「産業機械事業や自動車事業で培った技術を活用し、狭い場所でも静かに動ける駆動ユニットを開発した」と話す。

出展物の見た目はかわいいが、内容は思いのほかハードだ。ぜひ詳しい説明を聞きに行ってほしい。

MECTの熱い4日間が始まる

 メカトロテックジャパン(MECT)2023が本日、ついに幕を開けた。

 開会式では経済産業省製造産業局産業機械課の高木聡課長補佐や、日本工作機械工業会(日工会)会長の稲葉善治ファナック会長がMECTへの期待を語った。

 出展者を代表したあいさつで芝浦機械の坂元繁友社長は「工作機械業界は不安定な環境下だが、MECTでより多くの商談が得られるのではないかと非常に期待している」と力強く語った。

 来賓によるテープカットの後に開場。次々と人々が来場し、今回展の活気を感じさせた。

作業者支援機能付きのベンディングマシン/アマダ

タブレットの作業ガイドに従い曲げ加工を実演

アマダ(1D39)は電動サーボベンディングマシン「EGV-6020ATCe」を展示している。刷新したNC装置の内蔵カメラが作業者を識別し、熟練度や使用言語に合わせた画面表示を自動で切り替える。また、曲げ作業時には作業者の目線の高さに設置されたタブレットが作業を指示する。

担当者は「高い曲げの精度を担保しつつ、作業性の高さから、お客さまからも好評をいただいている」と話す。実演中のマシンの前には多くの来場者が集まっていた。