バリを出さない新工具発表/不二越

不二越(2D01)は、工具「バリレスシリーズ」を会場で初公開した。バリの発生を抑えられるように、形状などを工夫したドリルとタップ、エンドミルをそろえる。
 執行役員を務める五島康工具事業部長は「バリの除去は自動化が難しく、安定した品質を維持しづらい。そこで最初からバリなく加工でき、加工能率や工具寿命にもたけた工具を開発した」と語る。12月に発売予定のバリレスシリーズを、一足先にブース内で目の当たりにできる。

[出展者の声]イージーな自動化を/ヤマザキマザック 堀部和也上席執行役員

ヤマザキマザック(1A41)の堀部和也上席執行役員

わが社のブースの見どころの一つは「自動化提案」。製造現場で働くオペレーターの数が今後減少するため、日本の製造業各社が事業を継続するには誰でも使える自動化システムが求められる。だからこそ、いかに簡単できめ細かい自動化ソリューションを提供できるかが工作機械メーカーとしての差別化ポイントになる。

MECT2023ではこうした背景を踏まえ、誰でも簡単にセットアップが可能な協働ロボットシステム「Ez LOADER(イージーローダー) シリーズ」などのさまざまな自動化システムを紹介している。

【新人記者の視点】デッキから見える景色

「MECTはとにかく歩く」と先輩から聞いていたが、想像を超えて歩いている。開催初日の今日は、準備や取材のために2万歩近く歩いた。
 今回展は、新1号館が出来てから初めてのMECT。新1号館と2号館、3号館を行き来するには、歩行者デッキを歩く必要がある(来場者の皆さまにはお足労をお掛けします……)。午前10時の開場直後は多くの人でごった返しており、さながら民族大移動のようだった。しかし、誘導員や通路を分けるポールが配置されているわけではない。自然発生的にそうなっていた。実に日本人らしい。すれ違う人々から「次は〇〇を見に行きたい」と話す声がちらほら聞こえるのが主催者側としてはうれしい。
 閉会間際にはオレンジがかった空と名港中央大橋の白い橋梁(きょうりょう)、そして海が見えた。疲れた足腰が少し癒された瞬間だった。

クーラントのろ過を実演/東洋スクリーン工業

東洋スクリーン工業(3D87)は、クーラント液のろ過装置「ファインジェクター」を出品。回収できる粒子の大きさは最小5μmまで対応。マグネットセパレーターや遠心分離機ではろ過が難しかった銅やアルミなど非磁性素材の切りくず、ぜい性材の切りくずもろ過、回収する。ブースでは実際にクーラント液をろ過するデモを見ることができる。
 今年12月にテスト販売を始める予定。

溶接や印字、検査をひとまとめ/physical photon

physical photon(フィジカルフォトン、3S01)は、「QCWファイバーレーザ発振器」と「ガルバノスキャナー溶接ヘッド」、ファイバーレーザ加工機「PLM-100M」、外観検査用のカメラ、協働ロボットを組み合わせた溶接や印字、検査の自動化システムを展示。ブースでは実際にレーザーを照射しているデモシステムを見ることができる。
 担当者は「ロボットを使うことで、溶接と印字、検査の一連の作業を自動化できる」と話す。

[出展者の声]3つの社会課題に応えるソリューション/オークマ 家城淳社長

オークマ(1D33)の家城淳社長

わが社は「『ものづくりサービス』の力で社会に貢献する」というパーパス(企業の存在意義)を掲げている。創業から今年で125年を迎えるが、お客さまが抱える課題に対するソリューションをその時々のニーズに沿った形で提供してきた。現在の製造業は自動化・省人化、脱炭素化、デジタル活用の3つの社会課題に直面しており、わが社はこれら3つの社会課題に応えるソリューションをMECT2023で提案している。

MECT2023は初日から大勢の来場者でにぎわいを見せた。来場者の興味関心がどこまで実需につながるか、今後に期待したい。

コンセプトゾーンに注目集まる

3号館の特設会場で実施する主催者企画展示ゾーン(コンセプトゾーン)では、「驚きのスゴ技」をテーマに、研削加工と微細加工、5軸加工のそれぞれに込められた“門外不出”の加工技術の一端を紹介している。

アクリルから実物大の昆虫を削りだしたワークや、ファインセラミックス素材の表面を平滑に削り出したワーク、5軸マシニングセンタでしか加工できない形状のMECTオリジナルワークを3つのゾーンで紹介する。

新製品「GREEN TAP」を発表/オーエスジー

 オーエスジー(2B28)は10月18日、コンベンションセンターで新製品「GREEN TAP(グリーンタップ)」を発表した。

 グリーンタップは塑性加工でねじを加工する「盛上げタップ」で、加工時に切りくずが発生しない。また、独自の製法により、一般的な盛上げタップとは異なる刃部形状を採用。製造時に排出される二酸化炭素(CO₂)の量を従来比で半減した。

 開発グループ穴開け開発チームの溝口哲也さんは「工具性能と環境への配慮の両立を実現できた」と胸を張る。グリーンタップは来年をめどに、M1~M6までのサイズで発売を計画している。

独SWとの協業を発表、会場で説明会開催/エンシュウ

エンシュウの鈴木敦士社長兼COO(=左)とSWのステファン・ウェーバー最高経営責任者(=右)

エンシュウ(1B29)は10月12日、ドイツの多軸マシニングセンタ(MC)メーカーのSWとの協業に向けて協議を開始したと発表した。両社は会期初日の18日、コンベンションホールの会議室で代理店や報道関係者らを招いて説明会を開催した。

SWは2本~4本の主軸を持つ多軸MCを得意とし、近年は電気自動車(EV)向けの部品加工でも多くの実績を持つ。エンシュウは協業を通じ、まずは日本の顧客に向けてSWの多軸MCの据え付けや保守パーツの供給などを担う。将来的には日本市場への販売も手掛けるようになるという。鈴木敦士社長兼最高執行責任者(COO)は「自動車業界は大変革期に直面しているが、SWと協業すればお客さまの幅広いニーズに応えられる」と話す。

【開会レセプション】4年ぶりの開催、業界関係者同士で懇親深める

多くのFA業界関係者でにぎわった開会レセプション

会期初日の正午〜午後1時、ポートメッセなごやのイベント館で「開会レセプション」が開かれた。レセプションの開催は4年ぶり。多くのFA業界の関係者が参加し、懇親を深めた。

主催者のニュースダイジェスト社からは八角秀常務が登壇。「リアルとウェブ、どちらか片方で十分ということではない。ウェブが発達するほど、リアルな展示会も存在価値が増す」とあいさつした。

また、出展者代表として、牧野フライス製作所(1A16)の宮崎正太郎社長が乾杯の音頭を取った。