MECT特派員

【初出展者の声】製品を知るきっかけに

刃物の町、岐阜県関市の発祥で創業111年を迎えた貝印カミソリ(1D52)は、工業用特殊刃物を展示する。カミソリは、刃先のミクロン単位の違いが、使い手の肌に違和感を伝える。デリケートな商品を扱う同社は品質に自信を持つ。刃物営業部の平光亮輔さんは、「貝印は包丁やカミソリなどの日常生活に関わる製品のイメージが強いと思う。工業用刃物にも注力していることを来場者に知っていただければ嬉しい」と語る。

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スラッジ検知用のセンサーを開発

センサーを容器上部に付けるとクーラントが濁っていても後ろのランプが点灯しない(=写真左)が、下部に付けると堆積したスラッジに反応し、ランプが点灯する

ろ過装置メーカーのindustria(インダストリア、1B11)はMECT2019で、クーラント内のスラッジの堆積を検知するセンサーを発表した。このセンサーと主力製品のろ過装置「フィルスター」を組み合わせると、タンク清掃のほぼ要らないクーラントタンクを作れる。このコンセプトを具現した、ごみの排出を自動化したタンクも展示する。

担当者は「わが社の顧客は金属加工に限らず幅広い。このセンサーは、クーラントが油性でも水性でも、スラッジが金属でも樹脂でもセラミックスでも反応する。開発には相当苦労した」と話す。

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【出展者の声】フレキシビリティーに焦点 中村留精密工業

「柔軟性の高い自動化システムに焦点を当てた」と話す中村匠吾専務

中村留精密工業(3D08)はロボットやローダー、無人搬送車(AGV)を使った自動化提案に力を入れている。中村匠吾専務は「部品加工の需要変動に対応できるよう、今回は特にフレキシビリティー(柔軟性)に焦点を当てた」と展示の狙いを説明する。

小間では、協働ロボットを生かした自動化システムなどを展示し、来場者の注目を集めた。中村専務は「具体的な話が多く、商談の質がよかった」と手応えを語る。

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【出展者の声】4種類の自動化システムを提案 スギノマシン

「人の入りはよい」と語る杉野良暁社長

「ものづくりの集積地の中部地区での展示会だけあっていい案件が多く、人の入りもよい」––。スギノマシン(3B21)の杉野良暁社長はMECT の前半2日間をこう振り返る。

今回は自動化提案に力を注ぐ。独自開発の産業用ロボット「スイングアーム式コラムロボット」を使った4種類の自動化システムを展示した。中でも注目は、タレット形の洗浄機の新製品「JCC 421 UT」。機内に防水タイプのコラムロボットを設置し、洗浄やエアブロー、ワーク搬送などの工程を1台に集約した。「多関節ロボットの課題は水に弱いこと。わが社の防水タイプのコラムロボットなら、この課題を解決できる」

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【初出展者の声】ハトの被害は4段階

ハトの絵が象徴的な同社の小間

初出展した企業には特徴ある会社も多い。日本鳩対策センター(1C10)は、文字通りハトの侵入で工場などへの被害を防ぐ製品を扱う。ハトの被害レベルは四段階ある。第一段階は、屋根の端やベランダの欄干に止まる状態。第二段階では、仲間との待機場所に使う。第三段階では物かげを寝床にし、定住し始める。第四段階では営巣し、子どもをつくる。

担当者は「最終段階になると、帰巣本能に優れた鳩はなかなか出ていかない。早期の対策が要る」と訴える。電気ショックを与える製品など、同社では各段階に合わせた対策製品をそろえる。

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【出展者の声】新しいことに挑戦する時期 三菱電機(3A01)

景況感は落ち着いている。この時期は新しいことに挑戦するべき。わが社は油性の加工液を使い高精度加工にしたワイヤ放電加工機「MX900」や、NCで制御できるロボットなどの新製品や新技術を披露している。今も具体的な受注案件がないわけではない。半導体関連では設備投資が動き始めた話もある。今発表していることが、来年の春から夏ぐらいには花開いてくれれば(三菱電機の氷見徳昭執行役員)。

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【出展者の声】刃数を増やし生産効率高める 兼房(2A25)

注目製品と渡辺将人社長

金属加工向け工具では後発で、ダイヤモンド工具や刃具のろう付け技術など、自社の強みを生かして製品を作っている。今回展の見所は「ろう付けフェイスミル」と「マイクロ3Dブレーカ付PCDリーマ」。刃物交換式の工具に比べて多く刃具を取り付けられるろう付け工具で加工速度の向上を提案する。兼房独自の製品群を見てほしい。(兼房の渡辺将人社長)

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【出展者の声】出展者も来場者も次の山を見据えて 三菱日立ツール(2A12)

想像していたよりも来場者は多い。今、景況感は良くないが、次の山は必ずやってくる。それに備えてわが社は、好況時に欠品した製品を中心に在庫を増やしている。出展者が次の山を見据えて、先端技術や製品を展示するのは当然。さらに来場者も次の山に備えているのか、生産効率向上や新素材向けの製品に注目する。金型向けブランド「モルディノ」の認知度も上がってきた。部品加工向けも含め加工品質や生産効率向上をアピールしたい(三菱日立ツールの菊池仁社長)。

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【工具】15年ぶりの実演展示で、新製品をアピール 日進工具

5軸マシニングセンタで加工を実演する。この後ワークに工具が当たるとどうなるか。現地で確認してほしい

日進工具(2B03)は10月23日、「SUS用高能率Zエンドミル」を発売した。刃部の根元と先端で溝の深さを変え、剛性を保ちながら切りくずの排出性も高めた。また刃部の根元と先端で刃の角度が違う不等リードを採用、加工中の振れを抑えた。

ブースに工作機械を置き、加工を実演する。日進工具の後藤弘治社長は「大きな展示会で工作機械をブースに置いたのは約15年ぶり。いかに高能率かを目で見て確かめてほしい」と話す 。

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【出展者の声】具現化した先端技術を見せる シチズンマシナリー(3B03)

中島圭一社長と一押しのNC自動旋盤「L20XⅡ」ATC搭載機

MECTは目の肥えた来場者が多い。そこが魅力で、わが社の実力も試される。現場を知ってるからこその厳しい要求が聞ける。商談効果も高い。わが社は日本国際工作機械見本市(JIMTOF)で、近未来のコンセプトや先端技術を発表し、MECTに具現化した製品を持ってくる。今回はB軸に自動工具交換装置(ATC)を搭載したNC自動旋盤「L20XⅡ」が一押し。 業界でも珍しい機械だと思う(シチズンマシナリーの中島圭一社長)。